アイリーン・ベルセリオン
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ェンディは返事もできない。しかしそれがわかっていないのか、ネバルは怒り狂っていた。
「返事しろよマユマユ。オイィ!!」
自身の魔法を使い少女の口を塞ぐ。それにより呼吸ができなくなった彼女は懸命に足掻いていると、それを見て満足したネバルは口元の粘着を解く。
「ホラァ・・・今度はちゃんと返事しろよ?」
「ひっ・・・」
怒りに満ちた男の表情を見て恐怖に怯えるウェンディ。悪魔のような形相で自身を見下ろすネバルに精神の限界を感じた少女は、ついに泣き出してしまった。
「あれ?マユマユ泣いちゃったぁ?」
その様子を面白おかしく見ているネバル。しかしあまりにも長い時間泣き続ける彼女を見て、彼は頭をポリポリとかいている。
「あら?大層な趣味をお持ちのようね」
そんな彼の後ろから聞こえてくる女性の声。それにネバルは振り返り、聞き覚えのあった声にウェンディの涙は止まる。
「いたいけな少女をいたぶるなんて」
長い緋色の髪をした見た目麗しい女性。かつて絶望と呼ばれた女王、アイリーンはまるで虫けらを見るような目付きで男を見下ろしていた。
その頃、二人の魂を賭けた雷の男の戦いは混線を極めていた。
「王に勝てるとでも思ったかぁ!?」
ラクサスの体内にある魔水晶。それは今彼が対峙しているキリンが食した雷竜王エレクシオンの心臓を加工したものだった。男はドラゴンの肉を喰らったはよかったが、心臓だけは金のために喰らうことができなかった。
そのことにより日夜心臓を失ったドラゴンの魂の叫びにうなされ続けてきた彼は、この日、その心臓の魔水晶を持つラクサスからそれを奪うことによりエレクシオンの願いを成就させようとしていた。
「今だ!!エレクシオン!!」
棺桶を放りラクサスを中へと閉じ込める。それを見たキリンは勝利を確信していた。
「今度はお前が喰え!!自らの心臓を!!ラクサスを喰って一つになれ!!」
棺桶の中から聞こえてくる悲痛な男の叫び。それにより彼はまもなく悲願が成就するものだと思っていた。
「今こそその時だ!!エレクシオン!!」
棺桶から光が放たれる。次第に中にある魔力の増幅が激しいのか、ひび割れがひどくなっていく。
「これがお前が求めていた・・・心臓を持つ男!!」
完全に壊れた棺桶。その中から出てきた男は血まみれになっており、その手には一つの魔水晶が握られていた。
「!?」
「言っただろ?俺の身体に埋め込まれてる魔水晶には何の未練もねぇと」
ラクサスの手に握られているのは自らの身体に埋め込まれていたものだった。彼は自身の身体に手を押し
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