第二章
[8]前話
「あの時扉を閉めていれば」
「言っても仕方ないわ、それよりもね」
「ああ、レイアを探さないとな」
「ドナさんにも協力してもらっているし」
犬を探す団体の職員であるビル=ドナダークグレーの短い髪の毛と青い目に逞しい身体つきの彼にもというのだ。
「ここはね」
「諦めないでか」
「探しましょう」
「そうするしかないな」
「ええ、私達はね」
こう話してだった。
一家はレイア茶色と黒と白のフォックスハウンドの雌犬の彼女を探し続けていた、それは八ヶ月程続いたが。
レイアを探しているというポスターと見付けてくれた人への懸賞金が功を奏して再び彼女は見付かった、その現場にだ。
ドナが中に食べものを入れたケージを置くとだった。丁度彼女がいなくなって百日程経った日であった。
「レイアです」
「ケージの中にいますか」
「そうなんですか」
「はい、ですから」
ドナは一家に話した。
「すぐに来て下さい」
「わかりました」
「そうします」
夫婦で応え子供達を連れてだ。
一家でそこに行くと。
「レイア!」
「ワンワン!」
レイアはケージの中から吠えて尻尾を振ってだった。
一家を呼ぶ様な仕草をした、その彼女をだった。
一家はケージの中に入って抱き締めた、そしてドナに心から礼の言葉を述べた。
その後でだ、夫は単身赴任をすることになったが。
「レイアは元気かい?」
「ええ、今日もね」
妻は夫に携帯で話した。
「凄くね」
「それは何よりだよ」
「そうよね」
「もう二度と」
夫は反省を込めて言った。
「レイアにあんな思いをさせない様にしないとな」
「森でずっと一人ぼっちなんてね」
「アメリカの森は危ないからな」
狼や熊やボブキャットがいる、毒蛇や毒蜘蛛もいて州によっては水の中に鰐がいたりもするのだ。それがアメリカの森なのだ。
「もうね」
「ええ、二度とね」
「あんな思いはさせない様にしよう」
「何があってもね」
夫婦で話した、妻はその後でレイアにご飯をあげた。彼女はご飯を前にすると嬉しそうに尻尾を振った、その姿は幸せそのものだった。
百日後の再会 完
2023・4・22
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