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俺様勇者と武闘家日記
第2部
第2部 閑話
ランシールでの一夜
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然と私は答えた。
 まあ別に興味を持ったわけではなく、ユウリの機嫌を紛らわせるために適当なお店を選んだだけだったのだが、自分が食べ物だけに興味があると思われているのも何だか癪なので、そういうことにしておいた。
 早速お店の前に立って眺めると、商品棚に飾られた色とりどりの品物が目に飛び込んできた。
「うわあ、可愛い!」
 アッサラームやエジンベアで売っているきらびやかなアクセサリーと違って、どことなく民芸品のような温かみのある雰囲気のアクセサリーは、私にとってどれも興味を持つ物ばかりであった。
 とくにこのオレンジ系のお花をあしらった髪止めは、普段でも使えそうだ。私は手に取ってじっくりと眺める。
「いらっしゃい。お、さっき演説してた勇者様じゃないか。その手にしている髪飾り、そのお嬢ちゃんによく似合うと思うよ」
「そ、そうですか?」
 店のおじさんにそう誉められ、思わず照れる私。
「どうせ来る客に皆そう言ってるんだから、真に受けるなよ」
「もう、わかってるよ!」
 横からひょっこりと現れて身も蓋もないことを呟くユウリの一言に、私のテンションは一気に下がった。
 おそらく私に無駄遣いをさせないために言ったのだと思うが、そんなことわかってる。でも女の子は、可愛いとか、似合っているとか言われれば誰でも嬉しくなるのだ。
 申し訳ない気持ちでちらりとおじさんの方を見ると、そういう客には慣れているのかあまり気にしていない様子だった。
「まあまあ、せっかくのデートなんだから、喧嘩しないでよ。見ていくだけでもいいからさ」
「あはは、デートじゃないですよ。ただの旅の仲間で……」
 先ほどの店の主人と同じようなことを言って来たので、私は軽く笑いながら説明していたのだが、話の途中で突然ユウリが私の腕を引っ張った。
「わっ!? 何?」
「行くぞ」
 そう振り向きもせず言うと、ユウリは私を引きずるように次の店も足早に去ったのだった。



「ねえ、待ってってば。どうしたの、ユウリ?」
 人気のあまりない道で足をもつれさせながら私が呼び止めると、ユウリはぴたりと足を止めた。
「……お前は嫌じゃないのか?」
「? 何が?」
 頭を巡らすが、思い当たる節がない。私が首をかしげると、手を離したユウリが歯切れの悪い様子で答えた。
「俺と一緒にいて、その……なんか誤解されることが多いだろ」
「えーと、さっき店のおじさんが言ってたこと?」
 私の言葉に、ユウリは無言で小さく頷く。
 確かにお店を回っていた中で、ユウリのことを彼氏と言ったり、デート中だと勘違いしていた人たちと出会ってきた。けれどテドンでも似たような経験をしてきたので、そこまで過敏になるほどのことではないと思うのだが……。
「別に嫌じゃないよ? それに、他の人にどう思われるか
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