β天国
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いつまでもふざけている時間もないため強引ではあるがそのような行動に出ると、彼女は不思議そうな顔でこちらを向いた。
「シリル〜?目の前になんて誰もいないんだけど〜?」
「は?」
彼女のいつものおふざけなのかと思っていたが、彼女の顔は嘘を言っているようには見えない。困惑しながら男に視線を向けると、彼は寂しそうな表情でその疑問へ答えた。
「僕の声が聞こえ、僕の姿が見えるものは少ない。だから見つけてくれてありがとう。僕は幽霊なんだ」
その言葉を聞いてようやく理解できた。この人の悲壮感や不思議な言い回しは誰にも認知されない中で俺が彼を認知することができたから。あのありがとうは本当に心からの言葉だったのだろう。
「幽霊ってことは・・・もう死んでるんですか?」
「そうだよ」
「シリル〜?誰と話してるの〜?」
どうやらこの会話の内容もセシリーには聞こえていないようで青ざめている。独り言を言っているようにしか彼女からは見えていないだろうから、そのリアクションは正しいんだろう。
「なんで俺にしか見えないんですか?」
「滅竜魔導士には見えるみたいだね。だから僕はディアボロスにいるんだ」
ディアボロスはドラゴンイーターのみで構成されているギルド。つまり全員が滅竜魔導士であるため、彼のことを認知できるのか?
「幽霊でもお腹が空くんですか?」
「減らないよ。僕は力が欲しくて竜を食す」
ディアボロス全員に言えることだけど、彼らはその力が欲しいがためにドラゴンを倒し、食べようとしている。その気持ちもわからなくはないけど、それでも俺たちも対象に入っているのなら話は別だ。
「幽霊なら俺が成仏させてあげます」
「それはできないよ。僕の命を奪った男を見つけるまではね。その時までに僕は・・・」
彼は腕を振り上げ何かを放つ体勢に入ります。
「強くならなければならない」
その手を一度下ろし、再び振り上げると地面から巨大な白い炎が沸き上がり飲み飲まれる。
「うわあああ!!」
「何〜!?地面から白い炎が〜!?」
「炎ではなく魂・・・だが君には僕の声は聞こえない」
悲しげな声でそう告げる彼に反撃しようとするが、さっきまでの魔法とは違う。抜け出そうとしても炎はどんどん燃え上がっていき、身動きが取れない。
「魂が・・・泣いている」
彼がそう言って手を握り締める大爆発が起きる。俺の意識はそこで途絶えた。
第三者side
目の前で倒れている少年を見て困惑している焦げ茶色の猫。彼女はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、すぐに自身がやらなければいけない行動に移る。
「どこ〜
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