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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第87話 アトラハシーズ星系会戦 その3
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変わっていくのを認識せざるを得なかった。
「……かなりの速度を出している友軍艦艇と思われる集団が、当集団の進路二時方向仰角マイナス一〇度、距離一六光秒付近に現れたとのことです。進路は恒星アトラハシーズに向けているとのこと。数は四」
「二時の方向じゃと?」
 爺様の太い眉が吊り上がり、視線は三次元投影機に映し出されるアトラハシーズ星系図に向けられる。艦隊現在地点より指示された方向へ俺がラインを伸ばすと、実に微妙な位置。しかし友軍艦艇となると事情を聴く必要がある。敵に拿捕されていた場合は『処理』しなければならない。一同揃って会議室から艦橋へ移動すると、艦長が敬礼して待っていた。

「不明艦艇群は速度を落としつつ、右舷方向に寄り添う形で接近しております」
「通信はどうじゃ?」
「無線封止状況です。光パルス通信が通じる距離まではまだ時間がかかります」
「艦形は?」
「七七四年CW型戦艦一、七七九年B九九型嚮導巡航艦一、七七〇年製造で形式不明の標準巡航艦二です」
「……のう艦長。それだけのデータがあって敵味方が分からんかったのか?」
「小官は確実を期したいと、思いましたので」

 初老の艦長は爺様の軽口に対して口をへの字に曲げつつも肩を竦めて応える。爺様が言う通り、そこまでのデータが揃っていれば彼らが何者かなど容易に想像できる。
「パルス通信ができる時点になったら、戦艦アラミノスのフィンク艦長をシャトルでエル=トレメンドに呼び出せ。じっくり口頭試問にかけてやろう」
 そういうと爺様が溜息交じりに司令官席に腰を下ろした。フィンク艦長が強いられて行動している可能性もある。(特に彼のせいではない)失態続きのモンティージャ中佐は渋い顔をしているし、ブライトウェル嬢は喜色満面。俺としても彼らが生還して合流できたのであれば喜ばしい。だが……送り出した時、第八七〇九哨戒隊には二〇隻も所属していたのだ。それがたったの四隻。損失率八〇パーセント。

「いったいどんな顔をすればいいんだ」

 先に照準を付けつつ陸戦隊を送り込むべきだと主張するモンティージャ中佐を他所に、俺は少し離れたところでジャケットのポケットの中から腹を摩るのだった。





 果たして戦艦アラミノスに送り込んだ陸戦隊からの報告は問題ないとのこと。ついてはその説明に、シャトルでエル=トレメンドにやってきたフィンク中佐の笑顔と言ったら、飼い主に久しぶりに出会ったコギー犬もかくやと言わんばかりのものだった。なにしろ爺様や参謀長への敬礼もそこそこに、俺の手を取り何度も揺さぶるのは尋常ではない。

「少佐のおかげで第八七〇九哨戒隊は、一人として欠くことなく本隊に合流できました」
「はぁ?」
 まったく理解できなかった俺は思わず中佐を唖然として見つめると、中佐は矢継ぎ
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