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X ーthe another storyー
第十三話 母親その九

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「今から楽しみだ」
「軍鶏鍋ですか」
「知っているか」
「はい、鶏は鶏でもです」
 護刃は笑顔で話した。
「闘鶏に使う鶏で」
「それでか」
「はい、肉が引き締まっていてです」
 それでというのだ。
「美味しいんですよね」
「そうなのか」
「それで坂本龍馬さんがお好きだったんですね」
 護刃もこう言った。
「美味しいですよね」
「食ったことがあるのか」
「はい」
 まさにというのだ。
「本当に美味しいですよ」
「そうなのか」
「ですから」
 それでと言うのだった。
「是非です」
「食うべきか」
「はい」
 神威ににこりと笑って答えた。
「お勧めです」
「そうなのか」
「実は私龍馬さん好きで」
 護刃はこうも話した。
「本もよく読んでます」
「あの人について書かれたか」
「はい、恰好いいですよね」
「確かにな」
 神威も否定しなかった。
「あの人は」
「何でも今もです」
 世を去って久しいがだ。
「日本を護ってくれているそうですよ」
「そうなのか」
「他の偉人の人達と一緒に」 
 そうしているというのだ。
「どうやら」
「この東京もか」
「そうみたいですよ、上野に西郷さんの像がありますね」
「あれか」
「はい、靖国神社の前にはです」
 護刃はさらに話した。
「楠木正成さんの像もありますね」
「そういえばそうか」
「他にもです」
 護刃は右の人差し指を立てつつ話していった。
「大村益次郎さんもですね」
「像があるな」
「この方々もです」
「東京にあるか」
「その魂は今も」
「そして東京をか」
「ひいては日本もです」
 国家もというのだ。
「お護りしているみたいですよ」
「そして龍馬さんもか」
「議事堂には板垣退助さん達の像もありますね」
「あの人達も同じか」
「龍馬さんの像は高知県にありますが」
「魂はか」
「日露戦争の時にです」
 日本の命運を決したこの戦争においてというのだ、日本はこの戦争で敗れたなら滅亡は免れなかったと言われている。
「明治皇后の枕元に出たそうです」
「あの方のか」
「それで日本海海戦は勝つと」
 その様にというのだ。
「言ったそうですよ」
「そうなのか」
「そうしたお話もありまして」
 それでというのだ。
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