第十三話 母親その三
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「とはいっても数には限りがあるけれど」
「あるだけ食っていいか」
「私の分もあげるから」
「いや、それはいい」
神威は笑ってそれはいいとした。
「小鳥は小鳥の分をだ」
「食べていいの」
「食べてくれ」
真面目な顔になって告げた。
「是非な、さもないとだ」
「さもないと?」
「心臓はもう大丈夫か」
小鳥に真面目な顔のまま問うた。
「今は」
「あっ、覚えててくれたの」
「忘れるものか、子供の頃心臓が弱かったな」
「うん、けれど神威ちゃんが沖縄に行ってからね」
「よくなったか」
「今は大丈夫よ、運動だってね」
こちらもというのだ。
「出来るよ」
「そうか、よかった」
「運動は苦手だけれど」
それでもというのだ。
「出来ることはね」
「出来るか」
「うん、だからね」
小鳥は自分の返事に笑顔になった神威にさらに話した。
「神威ちゃんも安心してね」
「ならいい、それならな」
「これからもね」
「しっかりとな」
まさにというのだ。
「食べてな」
「元気でいろって言うのね」
「そうだ、やっぱり食べないとな」
神威は笑顔に戻ったうえで小鳥に話した、彼女の返事にほっとして自然にそうした顔になって言っているのだ。
「身体によくないからな」
「そうよね」
「それならな」
「うん、明日もね」
「作ってくれるか」
「お家でもね、今度お鍋作るから」
「何の鍋だ?」
小鳥に問うた。
「それで」
「軍鶏鍋よ」
小鳥は神威に微笑んで答えた。
「それを作るから」
「俺もか」
「来てね、このお鍋って歴史があるのよ」
「どういった歴史だ」
「坂本龍馬さんがお好きだったらしいの」
「幕末の志士のか」
「海援隊のね」
このことで有名なというのだ。
「あの人がお好きだったの」
「そうだったのか」
「それで食べようと食材を買いに行ってもらったら」
その時にというのだ。
「襲撃を受けてね」
「そういえばあの人は暗殺されているな」
「そうでしょ、暗殺した人は色々言われているけれど」
「誰かな」
「中岡慎太郎さんと一緒に暗殺された時にね」
小鳥は神威と一緒にお握りとおかずを食べつつ話した、食べながら自分が話に乗って来たことを自覚している。
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