第二章
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そのうえでキスは天麩羅にそして蛸は刺身にする為に調理にかかったが。
結月は生きた蛸を何なく捌いて刺身にした、それで食卓に並べたが夫はその蛸の刺身を食べつつ言った。
「生きた蛸を捌けるなんてな」
「凄い?」
「よく出来たな」
山葵醤油で食べつつの言葉だ。
「本当にな」
「いや、コツがあるのよ」
「コツ?」
「蛸は真水に弱いのよ」
「ああ、海にいるからか」
「そう、うねうねして逃げて絡みついてくるけれど」
それでもというのだ。
「真水に弱いから」
「それを使うとか」
「いいのよ、他にもコツがあって」
蛸を捌くにはというのだ。
「そのコツを使えばね」
「生きた蛸でも捌けるか」
「そうなの、烏賊もね」
こちらもというのだ。
「コツがあるのよ」
「生きたのでも捌くコツがか」
「ただ海で釣ったばかりの烏賊はね」
「アニサキスいるからな」
大成もこのことは知っていた、釣り人としてそうした知識も備えているのだ。
「だからな」
「いったん冷凍するかよく切り身を入れないと」
「危ないな」
「そうよ、それでこの蛸美味しいわね」
「キスもな、じゃあまた釣って来るな」
「それで捌くわね」
夫婦で笑顔で話した、だが。
次に釣りに言った時夫は妻に言った。
「ゴンズイしか釣れなくてな」
「刺されなかった?」
「それはよかったよ、だから代わりに肉買ってきたよ」
「お魚がお肉になったの」
「生きた牛は捌けないよな」
「出来る筈ないでしょ」
妻はここでもあっさりと答えた。
「漁師の家の娘なのに」
「調理師免許あってもか」
「それは肉屋さん行ってね」
「焼き肉用の肉だから安心しろよ」
「ならいいわ」
この日は焼肉になった、蛸も烏賊も他の海の幸もこの日はなかったのだった。
蛸の弱点 完
2023・4・17
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