暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十三部第四章 戦線崩壊その三十八

[8]前話 [2]次話
「それならですね」
「ここは、ですね」
「少しでも多く撤退し」
「そのうえで」
「次の機会に役立ってもらいますね」
「反攻の時に」
「兄上の復帰は間近だ」 
 長兄である彼のとだ、アブーは述べた。
「兄上さえ戻られればだ」
「その時こそですね」
「我等は反攻に転じることが出来ますね」
「あの方さえ戻られれば」
「この劣勢も」
「そうだ、兄上ならば」
 シャイターンの軍事的才能があればというのだ。
「例えどういった劣勢でもだ」
「覆して下さいますね」
「アッディーン大統領の軍略にも対抗出来る」
「左様ですね」
「あの方ならば」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「ここはだ」
「何としてもですね」
「ここはですね」
「主席が戻られる時に備え」
「撤退を進め」
「戦力を残しますね」
「そうする、軍は数だ」
 アブーはこの現実を冷徹な声で述べた。
「そうだな」
「はい、まことに」
「これ以上はないまでの真実です」
「寡兵で大軍を破ることもありますが」
「それでも最低限の兵がなければ」
「勝てるものも勝てません」
「一隻で一万隻の艦隊に勝てる筈がないのですから」
 幕僚達も口々に述べた。
「若し出来るとすれば」
「それはもう普通の軍ではありません」
「アッラーの軍です」
「現実にあるとすれば連合軍の巨大戦艦位です」
「あれはもう要塞だ」
 連合軍の誇るティアマト級そしてこの度新造されていき瞬く間に配備されていったゾロアスター級はというのだ。
「戦艦というよりはな」
「だからですね」
「また別ですね」
「別のものですね」
「サハラの話ではないですね」
「そうだ、その連合軍は圧倒的な数の軍だしな」
 その膨大な人口を使ってのことである。
「やはり兄上が反攻の指揮を執られる時もな」
「一兵でも、一隻でもですね」
「多くの兵が必要ですね」
「だからですね」
「この度はですね」
「少しでもですね」
「多くの戦力を撤退させるべきですね」
「そうだ、兵器を新造するにしてもやはり兵器は既存のものが残っていればだ」
「それがベストですね」
「何といっても」
「左様ですね」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「兵はな」
「より重要ですね」
「熟練兵はそうそう育ちません」
「徴兵して数を揃えても」
「新兵はやはり心もとないです」
「そのことを思うと」
「どうしてもだ」
 何といってもというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ