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レンズ越しのセイレーン
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Report4 クロト
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ク色の空気に耐えられなかった」と冗談めかして言って笑いを取るのだろう。あ、笑い声。

 そうこうしている内にメールの受信を知らせるランプが点灯した。サイレントマナーなので振動はない。

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   From:J
   Subject:Re:現在地報告

 こちらはトリグラフにいる。情報感謝する。確かに鉢合わせは頂けない。
 この世界では列車テロが起きていないらしい。おかげで自由に動き回れた。
 今分かっているこの分史の正史との差異は、

 1、リーゼ・マクシアが認知されていない。おそらく断界殻(シェル)は開いていない。
 2、大精霊が存在する。世間的に認知されているのはアスコルドの動力源である光の大精霊アスカ。アスコルド自然工場の経営主はジランドール・ユル・スヴェント。
 3、アルクノアがいない。ただしジルニトラ号の事件は起きているためリーゼ・マクシアで活動中か、そもそもリーゼ・マクシアでアルクノアが組織されなかった可能性あり。

 この程度だ。手元の材料で判断すると、ここは「1年前に断界殻(シェル)が消えずリーゼ・マクシアとの国交がない世界」だと思われる。

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 スヴェント。そのファミリーネームを読み、ユティの手の中で筐体が軋んだ。

(この世界の彼もリーゼ・マクシアで実家の叔父さん共々アルクノアをしてるんだと思ってた。でも違う? アスコルドの経営主になるくらいだからスヴェント家の財界への影響は健在。この時代のアルおじさまはどうなったんだろう)

 そこまで考えて――ユティは車窓に自らデコをぶつけた。

「ユティ!? どうしたんですか!?」
『すごい音したぁ!!』
「ごめん。ただのイージーミス。今メンテナンス中だからちょっと待って」

 返信ボタンを押して返信メールを打ち始める。おでこはジクジク痛むが、理性的でいるにはちょうどいい刺激だ。

「何してるの?」

 エルが座席から身を乗り出して問うてきた。危ない。ユティはとっさに画面を操作する。
 席をエルの横に移しエルにも画面が見えるようにして。

「ゲームアプリの難読リーゼ・マクシア文字問題。今ステージ4」
「むつかしー字いっぱいで読めないー!」

 ちゃぶ台返しならぬルル返し。宙に舞ったルルは腹を見せて一回転して着地した。そしてルドガーのもとへと去った。

「ナァ〜」
「はいはい。災難だったなルル」

 エルの興味がGHSから逸れ
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