暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜豪運を持つ男〜
ウェルカム トゥ アイングラッド
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る。
 その時、ファンファーレが聴こえ、同時に金色のライトエフェクトが体を包んだ。
 それはすなわち、この世界に来てからフレンジーボア十体に森に入って早々にエンカウントした捕食植物モンスターのリトルネペント二体、そしてブラックマウスを倒したことにより経験値がレベルアップ必要量に達したのだ。
 小さく息を吐いた後に握っている初期装備の剣|《スモールソード》を腰に吊るしている鞘に収める。ホルンカには《ブロンズソード》という剣が売ってあったが耐久値がスモールソードより低く買う気にはなれなかった。


(ま、今はこの剣でも充分やっていけるから問題は無いだろう)


 そんなことを思いながら、右手の人差し指と中指を揃えて下に振り、メニューウインドを開く。
 ステータスタブを出して加算された三つのステータスアップポイントを筋力に一、敏捷に二と振った。
 魔法が無いSAOでは可視的に振り分けるのはこの二つだが、俺が良く見ているネットゲーム総合情報サイトだとSAOには戦闘系・生産系のスキルが途方も無い数があるらしく、将来的にスキルスロットが多くなった時は振り分けに悩む事だろうが今を生きることに懸命にならなければならない。未来のことを考えるのは余裕が出来た頃でも遅くは無いはずだ。


「しかし、本当に危なかったな」


 そう呟きながら、戦闘中気にしなかった自分のHPバーを確認する。ブラックマウスのちょこまかとしたヒット&アウェイでの攻撃によってバーは注意域である黄色になっていて、あと一撃喰らっていれば間違いなく俺の危険域になっていたと予想する。

(この世界ではこのHPバーが命……気をつけないとな)


 ステータスタブからアイテム欄に変えて、あの色々あった道具屋で買い込んでおいた回復用ポーションをオブジャクト化し、それを一気に口に流し込む。
 酸味の強いグレープフルーツ味の液体が喉を流れていくと、バーは少しずつ回復していく。空になった空き瓶を地面に放っていた時、何かを斬るような音が聞こえた。

 視線をそちらに向けるとそこには黒髪の少年が《リトルネペント》と戦っていた。その動き方が妙にこなれていて、彼が正式サービスが始まる前に稼動実験で先行して行った《元βテスター》だと分かった。


 《元βテスター》ならばダンジョンの構造、武器屋・防具屋等の焦点の品揃え、クエストの発生条件・場所・モンスターのポップ場所・弱点などなどが知識として彼の頭の中に幾つも存在するのだろう。
 だからこそ、その知識をフル活用してここでレベルを上げていたのだろうと慣れない推理をする。

 さっきの戦いも然り、今の俺には経験も知識もない。
 ただがむしゃらに突っ込んでいくだけじゃあ、いざと言うときの対処が冷静にできない。
 そう考えた俺
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