ウェルカム トゥ アイングラッド
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんな中で俺−Zinは自分でも驚くくらい妙に落ち着いていて、茅場が語った事は全て事実だとすぐに受け入れる事が出来た。
こんな、今までどのゲームデザイナーが夢見て挫折したこの世界を創り上げた天才と言われるあの男ならこのくらい出来るはずだ。
そしてなによりダイブする前からこのナーブギアは危険と認識していたので、俺はそこまで大きな精神的ダメージはなかった。
そんなことよりももうひとつ注目する点がある。それは『一度も死んではいけない』という点だ。
ここでの死が現実の死となるデスゲームだとしてもこれはRPGゲーム。モンスターを倒してレベルを上げなければ何も始まらない。
そして、この混乱が落ち着けばこのはじまりの街周辺のモンスターはレベル上げをするプレイヤーによって刈り取られる可能性がある。なら、ここを離れて別の場所を拠点にする必要があると考える。
「とりま経験値稼ぎになる拠点を見つけないといけねぇな……」
小さく呟いた俺は今だ荒れ狂う人垣の中を出て、少しでも情報を持っているだろうNPCを探す事を始めた。
銀行強盗の件で、『死』と言う感覚に近づけられた経験があるので、緊張はなかった。
* * *
side Zin
はじまりの街のNPCから情報を得た俺ははじまりの街の北西の森を抜けた先にある小さな村|《ホルンカ》からさらに西にある森にいた。
この森には強力なモンスターが出るらしくそこならば最初のレベル稼ぎにはうってつけの場所と考えての行動だった。
あれから、ここ森に来るまでに幾つかのソードスキルを覚えた。
剣を縦に振り下ろす単発技《バーチカル》と横切りに近い単発技《スラント》、後、突き技っぽい突進系ソードスキル単発技《リニアースラッシュ》等を覚えた。
親父が高校時代に剣道をしていて、たまに稽古するときに演舞などを一緒にした経験があってか、おもいにほか簡単に覚えられた。
それから|《ホルンカ》に着いてからは装備と道具を整え、森の中を勘を頼りに歩いていたが日は完全に沈み、周りは真っ暗になっていた。
すると後ろから・・・・
ビイィィィィン――
「ッ…!ヤベッ……!」
その言葉と共に黒い体色をして紅い瞳をした全長一メートル以上はする鼠、正式名称|《ブラックマウス》の手の鉤爪攻撃をかわす。そのスピードは今まで戦ってきたどのモンスターよりも速く苦戦を強いられていた。
「このっ!」
突撃したその背後にスローイングダガーを投げつけて、HPを削り、怯ませる。瞬時に剣を構えて、地を蹴って《スラント》を打ち込む。
これでやっとブラックマウスのHPバーはゼロになり、その体は地面に落ちるとポリゴンの欠片とな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ