壱ノ巻
毒の粉
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でも気がぬけて、そのまま地面に倒れこみそうになった。それを、誰かが支えてくれた。
きっと、あたしを助けてくれた人だ。でも、助けたんじゃないかもしれない。これからまた、何処かへ連れて行く気かもしれない。この屋敷で、味方がいるなんて信じられなかった。
「立って。歩ける?とりあえず、こっちにきて。ここじゃまずいから」
ほぼ抱えられるようにして、あたしは歩いた。
「あたしをどうするつもりよ…」
さっき死にかけたからか、声に覇気がなかったが、そんなことにはかまっていられない。どうせ死ぬんなら、何もかもをはっきりさせてから死にたい。
人がいなさそうなところまで歩かされた。
…。人気のない場所。
「……あたしなんて抱いてもしょうがないわよ」
「瑠螺蔚さん、僕だ」
「…!?」
一瞬間が空いて、あたしは慌てて男を見上げた。
「嘘、高彬っ…!?」
どうして声で気づかなかったんだろう。でも高彬がまさかいるわけはないと思っていたから…。
高彬は今まで見たことがないような怖い顔であたしを見ていた。
「な、なんでこんなところに…。ゆ、夢かしら」
「出来るなら夢であって欲しいね。僕こそ、何で瑠螺蔚さんがこんなところにいるのか聞かせて欲しいくらいだ。一体何があって、あんなことに、いや、とりあえずちょっと待ってて」
高彬が離れようとしたから、あたしは咄嗟に高彬の腕を掴んだ。
「い、いや!高彬っ、離れないで!」
またいつあんな目にあうかもわからない。さっきの逃亡劇でもう肉体的にも精神的にもぼろぼろだ。
「…。わかった。一緒に行こう」
高彬は、あたしの全身をざっと見て、眉をしかめた。それから、あたしの肩を抱く。
「輿には先に行ってもらったけど、きっと昌人たちは待ってる」
何の話かわからなかったけれど、とりあえずあたしは頷いた。
「後でゆっくり話してもらうけど、僕は瑠螺蔚さんが軽い旅に出ているって俊成殿から聞いてたんだ。本当に心配だったけれど、すぐ帰ってくるって聞いていたし、旅は一人でないとも聞いた。なのになぜか柴田どのの家にいて、あんな…。これは俊成殿も一枚噛んでいると思っていいの?」
高彬が感情の篭らない声で淡々と責める。
「…兄上は関係ないわ」
「…ふうん」
高彬の手に篭る力が心なしか強くなった。
「
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