第十二話 風使その八
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「ですから」
「その為にですか」
「何があってもです」
それこそというのだ。
「地の龍とはです」
「戦わないことですか」
「そのことを守って下さい」
「そうですか」
「そのことを約束して下さい」
「わかりました」
玳透は誠実な声で答えた。
「必ず」
「はい、くれぐれもお願いします」
丁は頼む様に言った、そしてだった。
その夜だ、眠りに入ったがここで庚に言われた。
「姉さんはあの子の未来を知っている筈よ」
「わらわを護ってくれている」
「あの風使いのね」
玳透のことに他ならなかった。
「そうよね」
「命を落とします」
丁は自分の妹に悲しい顔で答えた。
「地の龍によって」
「それでもそう言うのね」
「どうしてもです」
目を閉じての言葉だった。
「わらわを想ってくれている気持ちを見ていますと」
「どうしてもなのね」
「言わずにいられません」
「姉さんは変わらないわね」
庚は姉の言葉を受けて腕を組んで立った姿勢で述べた。
「優しいわ、姉さんはね」
「庚、何を言いたいのですか」
「何もないわ」
本音を心の箱の中に入れて答えた。
「別にね」
「そうですか」
「ええ、けれど運命はね」
「変わらないものです」
今もこう言うのだった。
「ですから」
「彼は死ぬわね」
「そうなります、ですが」
「言わずにはいられないのね」
「そうです、わらわとしては」
「わかったわ、けれど戦いでは人は死ぬものよ」
庚はこの現実を話した。
「だからよ」
「彼もですか」
「死ぬわ、彼は責任感も使命感も強いから」
それ故にというのだ。
「必ずよ」
「地の龍と戦うことになり」
「命を落とすわ」
こう丁に言うのだった。
「姉さんの夢見通りにね」
「わらわもわかっていますが」
「そしてその死を見て嘆くのよ」
姉に嘲笑する様に話した。
「運命、夢見の通りになったと」
「ですがそれでも」
「あの神主の人は生きているけれど」
自分がそうさせたことも箱に入れて見せなかった。
「けれどね」
「彼はですね」
「そうはいかないわ、あの娘もね」
「殺されて」
「そうなってよ」
そしてというのだ。
「天の龍の神威は絶望に打ちひしがれるわ」
「地の龍の神威、もう一人の自分にそうされて」
「そうよ、運命はね」
「避けられない」
「ええ、そしてその運命はね」
「人間の世界が滅ぶとですね」
「そうなるとね」
まさにというのだ。
「姉さんに言っておくわ」
「庚、貴女はどうしても」
「それが運命だとね」
その様にというのだ。
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