第二部 1978年
影の政府
奪還作戦 その5
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ら、だんだんと歩み寄っていった。
2メートル近い身長のあるKGB大佐は、美久を引っ張て行くと、一目散に逃げていった。
その巨体から考えられぬような速度で、広間に護衛たちを置き去りにして。
まもなく、広間から隣の指令室に逃げ込むと、時限爆弾の装置を操作する。
「おのれ、木原マサキめ。こうなったら、この基地ごと爆破してくれるわ」
屋上の階段につながるドアが開かれると、兵士が入ってきて、
「同志大佐、ヘリの準備ができました」
「よし、出発だ」
KGBの兵士が美久の扱いを尋ねた。
「この女は、どうしますか」
KGB大佐は、興奮のあまり、美久がアンドロイドである事を失念していた。
連れて帰ってるまでに、騒がれても面倒だ。
どうせ基地事処分してしまったほうがいいだろうと考えて、置いていく指示を出す。
「木原も一人じゃ寂しかろう。この女を置いていくまでよ。ハハハハハ」
笑い声をあげながら、美久の横面を右手で勢い良く、たたきつける。
その衝撃で、彼女は床に倒れこんだ。
床に横たわる美久を見ながら、KGB大佐たちは、その部屋を後にした
警報音が鳴り響き、爆風と硝煙のにおいが立ち込める基地から、一台の回転翼機が離陸した。
ソ連製の汎用ヘリコプターMi-8。
砂漠迷彩に赤い星の国家識別章を付けたこの機体は、勢いよく上昇する。
その機内で、KGB大佐はだんだんと遠ざかっていく地面を見ながら吐き捨てた。
「木原よ。基地もろとも、アラブの地に骨をうずめるが良い。フォフォフォ」
その時である。
漆黒の闇の中から天空に向けて、一筋の光線が駆け抜けた。
光の玉は、テール・ブームと機体の間に直撃し、エンジンオイルタンクに誘爆。
轟音とともにKGBのMI-8ヘリコプターは、爆散した。
直後、空を覆っていた雲が晴れ渡ると、満月が基地全体を照らす。
漆黒の闇の中から月明かりによって照らされる一台の戦術機。
その大きさは15階建てのビルに相当し、全身が白かった。
逃げ出そうとしたソ連KGBのヘリに向けた、謎の攻撃。
まさしく、天のゼオライマーの必殺武器である、次元連結砲の攻撃であった。
マサキは、基地が爆破される直前に、ゼオライマーを呼び寄せていた。
この機体は、米国ワシントン州シアトル郊外のタコマより一万キロを瞬間移動したのだ。
ゼオライマーの機体が、不気味な声を上げて咆哮する。
必殺の攻撃、メイオウ攻撃発射の合図であった。
「フハハハハ。かけら一つ残さず消え去るがよい」
彼はコックピットの中に座り、操作卓にあるボタンを押しながら、悪魔の哄笑をこぼすのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ