暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
四人で紡ぐ物語◆グリームアイズ
第三十話 グリームアイズ
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 キリトが《軍》の部隊が気になると言い出したため、全員でボス部屋まで来ることにしたのだが……そこで彼らを待ち受けていたのは絶望的な状況だった。

「おい! 大丈夫か!」
 キリトの叫びが比較的狭いボス部屋にこだまする。
 マルバはキリトの背後から飛び出すと……最悪の状況を目の当たりにした。

 二十メートルほど前方にこちらに背を向けて屹立しているのは悪魔の形をしたボス。《The Gleameyes》と書かれたカーソルの下に五本のHPゲージのうち一本が消え失せているが、残りの四本はほぼ満タンのままだ。恐ろしく長い巨剣を装備して、それを振り回している。あの剣を例えるなら……騎乗した騎士を馬ごと両断するというクレイジーな目的で作られたという斬馬刀に他ならない。両刃(りょうば)だから刀ではなく剣なのだろうが、馬も簡単に切断できそうな刀身を持っている。軽く2メートル半はあるだろう。
 そして、そのボスを挟んで向こう側に先ほどの《軍》の小部隊がいた。人数を数えると、先ほど会った時より二人足りない。脱出したのならいいのだが……。

 部隊の一人が巨剣に斬り飛ばされて床に転がった。
「何をやっているんだ! 早く転移しろ、死ぬぞ!!」
 ミズキの叫びに、そのプレイヤーは――軍の構成員なら兵士とでも呼ぶべきか――顔を上げ、絶望の表情で叫んだ。
「だ、駄目だ!! クリスタルが使えない!!」
「な……んだってッ!?」

 思わず絶句したマルバたちに対し、コーバッツらしき人影がボスの向こう側で剣を掲げ、叫ぶのが見えた。
「何を言うか……ッ! 我々解放軍に撤退の二文字はありえない!! 戦え、戦うんだ!!」
「あの人……ッ!!!」
 シリカは小さく叫ぶと、皆の方を振り返った。
「助けに行きましょう!! このままじゃ更に被害が広がります!」
 シリカの言葉を受けて、《リトルエネミーズ》はすぐに駆け出した。少し遅れてキリトたちが続く。

「はあああぁぁぁァァァァッ!!」
 低い位置から繰り出した拳が途中で軌道を変えた。シリカの身体はまるで彼女自身の拳に引きずられるように浮き上がり、彼女は自分の推進力をそのままぶつけるようにグリームアイズの後頭部に『玄鳥(ツバクラメ)』を叩きつけた。クリティカルヒットになり、HPが目に見えて減少する。
 グリームアイズのターゲットが一気にシリカへと切り替わる。その巨体に似合わぬ素早さで剣が打ち出され、シリカに襲いかかった……が、ミズキがシリカと悪魔の間に入りこんで、斬馬刀の一撃を大盾で受け止めた。筋力値が足りず、ミズキのHPが数パーセント減少する。
「僕達がボスのタゲを取る! クラインたちは麻痺したプレイヤーを担いで脱出してくれ!!」
 マルバが大声で指示を出す。それにしたがってクラインたちが行動を開始し
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ