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【魔法少女リリカルなのは】魔導師を辞めた高町家の男
プロローグ
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か自分でも判っていながらでも自分の命より他人の命の方が優先させている俺なら……きっと……」

「っ……」


 人の命が救えるのなら、自分の命なんて要らない。
 いつもそんな事を想ってやってきていた。

 だが、それじゃ意味がないと漸く気付かされた。

 俺が死にかけた事で何人もの人が心配してくれた。
 もし、俺が死んでいたらその人たちは悲しむだろう。

 それでは、何の得もない。

 自分の命を救えない様な奴が一人前に人の命を助けるなんてできるわけがない。
 人を悲しませても同じだ。


「悪いな。何時の日かまた会えるさ。俺は、居なくなるわけじゃないんだ」

「……わかった」


 友人は暗い表情で顔を下に向けたまま黙り込んでしまった。

 出発の時くらいは笑顔で見送って欲しかったんだがな。


「会いたくなれば、いつでも此処に戻ってくる。お前も会いたくなれば地球に来てくれて構わない」

「えぇ、その時は、他のみんなと一緒に行くわ」

「そりゃ大変だ。他のみんなって数え切れないほど居そうだが?」

「意地でも行くわ」

「……お茶くらいしか出せないと思うが、それで良いのなら来いよ」


 あいつらがみんな来たら大変だわ。
 コップとか結構買っておかないと足りなくなりそうだな。

 あ、そうだ。こいつはお茶にもう一つ淹れるのがあったな。


「お茶に砂糖入れて待ってるよ、リンディ」

「お茶には五月蠅いわよ、私」

「御口に合うように工夫しといてやるさ」

「ふふ、楽しみにしてるわね」


 俺の友人、リンディ・ハラオウンは先程までの暗い表情は何処かに行ってしまったようだ。
 これで、俺も気軽に旅立てる。

 いや、故郷に帰るだけだがな。


「じゃあ、そろそろ行く。また会おうなリンディ。それと、クライドとさっさと子作りしちまえ!」

「えぇ、って最後のは余計なお世話よ!!」


 俺は、笑いながら転移ポートまで近づいて行く。

 楽しかったよ、これまで。
 いろんな事があったが、良い経験になった。

 名残惜しいが、後悔はしていない。

 じゃあな、ミッドチルダ。

 じゃあな、管理局のみんな。











 俺が生きてたら、また、会おう……。















 鞄の中には、リンカーコアの損傷による心臓へのダメージを和らげる薬をたくさん持って、俺は故郷の地球へと時空転移した。





 俺の命は、もうあまり長くはないかもしれない。







 意地でも、生きてやるけどな。




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