第八十四話 ボヘニアのヂシュカ
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
帝政ゲルマニアの帝都プラーカは、かつては古代のゲルマニア人の集落があったが、二千年ほぼ前の騎馬民族の侵入でゲルマニア人は土地を追われて西に逃げ、代わりにスラヴ人が流入して来て大規模な集落を作った。
その後、ガリアやトリステインといった国々の貴族達と婚姻し、魔法の力を得たゲルマニア人は、騎馬民族によって捨てざるを得なかった土地を取り戻す為に東征を開始し、スラヴ人の大集落もゲルマニア人に接収され、プラーカと名を改めた。
征服の結果、多くの都市国家が出来て、後の帝政ゲルマニアの基礎が出来ると、プラーカじゃロマリア教圏の東の要衝としてロマリア司教座が設けられる、大量のゲルマニア人が流入し、ボヘニア王の首府として繁栄、『黄金のプラーカ』と呼ばれるまで発展した。
しかし、繁栄の裏では、スラヴ人はゲルマニア人の圧倒的な魔法の力で末席へと追いやられていった。
現在、プラーカのゲルマニア人とスラヴ人の比率は1対4で、スラヴ人が圧倒的に多いが、社会的地位はゲルマニア人の方が高く、スラヴ系平民はゲルマニア系平民よりも低い地位で生きていた。
この様な事例はプラーカだけでなく、『新領土(ノイエ・ラント)』と呼ばれる、東征でゲルマニア領に組み込まれたスラヴ人の土地では、大量のゲルマニア人が入植して来て、差別的な光景が随所で見られた。
プラーカに住むスラヴ人は、自分達の事をのチェック人と名乗り、トリステインの迂回献金による資金提供を受け、来るべき独立のために暗躍していた。
プラーカ市内にある大衆酒場「麦畑の馬蹄」亭。
この何処にでも在る大衆酒場の一室では、5人のチェック系ゲルマニア貴族が集まり、密談を行っていた。
「皇帝の様子はどうだ?」
「耄碌し過ぎて、自分が何者かも分からなくなったそうだぜ」
「それなら我々の仕事もやりやすくなるという物だな」
「まったくだ」
ハハハ、と笑う貴族一同。
彼らチェック系ゲルマニア貴族は、貴族ではあるが全てが下級貴族で、要職についている者は誰も無く、チェック人のための独立国家建設の為にトリステインのゲルマニア謀略の尖兵として暗躍していた。
「では一両日中にも行動を起こすのですな?」
「そうだ。皇帝を血祭りにしなければ、今までの苦難から解放されない」
「では、いよいよ……」
「ああ、明日未明に行動を起こす」
『ザワ……』
大衆食堂の一室は、にわかにざわめいた。
「そうとなれば、早速蜂起の準備をしよう」
「だが、どうやって城内に潜入するんだ?」
「城内には協力者が何名か居る。皇帝の寝室まで難なくたどり着けるだろう」
「それじゃ俺は、市内の平民達に武器を渡して合図を待とう」
「よし! や
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ