第八十四話 ボヘニアのヂシュカ
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がら見届けた。
(よくも……よくも……これが人間のやる事か……!)
内心では、血を吐かんばかりの慟哭を上げていたヂシュカだったが、何処にスパイが居るか分からない為、平静を装って安ワインを呷っていた。
『フシネス神父の遺志を継ぐ』
フシネス神父の死で、否が応でもボヘニア独立を成し遂げなければ成らなくなった。
フシネス神父が望んだ平和的な独立の道ではなく、怒りに任せて血と暴力にまみれた独立の道へと進みたくて仕方がなくなっていた。
(そうだ……! 他の皆はどうしたのだ?)
先の火あぶりで、怒りの余り他のチェック貴族の姿が目に入る事は無かった。
ヂシュカは、腹の底から湧き出るマグマを御しきれないせいで、今の今まで血の気の多い同志達の事をすっかり忘れていたが、情熱は人一倍ある彼らが、フシネス神父の処刑を見ていて平静へいられるとは思えない。
(ひょっとして、何かとんでもない事をしでかすのでは……いや暴走は既に始まっているかもしれない)
ヂシュカの心配どおり、チェック貴族は今夜、歴史に残る大暴走をする。
そして、その暴走はヂシュカを始めとするチェック人だけではなく、全てのスラヴ人とゲルマニア人を、戦乱の渦に叩き込む序章だった。
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