第八十四話 ボヘニアのヂシュカ
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えたフシネツ神父の安否を確かめる為に、教会へ行こうと借家を出ると、同志のチェック貴族と借家の入り口付近で出くわした。
「大変だヂシュカ!」
「どうしたんだ? そんなに慌てて」
「とにかく大変なんだ! ゴホゴホ!」
同志のチェック貴族は急いで走ってきたのか、息を切らしていた。
「何かあったのか?」
この時ヂシュカの脳裏に嫌な予感が走った。
「フシネツ神父が捕まって火あぶりにされる! キャレル橋の方じゃ大変な事になってる!」
「何だって!?」
「お、おい!?」
ヂシュカはチェック貴族が呼び止めるのも聞かず、キャレル橋まで走り去った。
……
ヂシュカは走った。
大国ゲルマニアの帝都というだけあって、石畳の道路はよく整備されていたが、ヂシュカは走ることすら面倒になり、『フライ』の魔法で古い建物が立ち並ぶ街中を飛び掛けた。
プラーカの街を東から西へ両断するように流れるヴルダヴァ川。
そのヴルダヴァ川の両岸をつなぐ巨大な橋こそキャレル橋で、そのデザインは地球で言うゴシック様式に近い。
キャレル橋近くの広場では、多くの人だかりが出来ていて、広場に入れないように木製の柵で仕切られていた。
『フライ』で急いできたヂシュカは、キャレル橋周辺が封鎖されている事を知ると、衛兵にばれない様に着地し人ごみの中に紛れこんだ。
『〜異端者ヤン・フシネツの焚刑(火あぶりの刑)を執り行う〜』
と柵の前の立て札に簡潔に書かれていて、柵の先の広場ではフシネス神父が5メイル程の木製の柱に鎖でつながれていて、ロマリア教の異端審問官がフシネス神父が程よく焼けるように、薪と神父の著書を足元の置き、油をくべていた。
「どうなってるんだ?」
「ロマリアの異端審問官だ。とんでもない奴らが来た」
市民達は口々に異端審問官への畏怖を語り、事の成り行きを見守っていた。
フシネス神父のカリスマは、多くのチェック人の知るところで、独立した暁には神父にリーダーをやってもらおうという声が大変多かった。
ヂシュカ自身も、独立運動の首魁になって導いてほしいと説得したが、フシネス神父は、けっして首を縦に振らなかった。
……そんなフシネス神父が、チェック人にとってかけがえのない人が、異端の一言で処刑される。
(どうする、救出するか?)
一瞬、救出するか考えたが、すぐにそれを捨てた。
この状況でフシネス神父を救出するのは自殺行為だからだ。
どうしていいか判断できず、ヂシュカが手を拱いていると、異端審問官が壇上の上に立ち市民の面前に現れた。
「お集まりの皆様。ここに括りつけられている異端者は、不敬にも教皇聖下の恩前に無断で現れ、始祖ブリミル
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