水神竜の憂鬱
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はまるですごい奴には見えない。てか鎧竜って言ったか?まさかあいつも滅竜魔導士なのか?
「正直ワシ一人で十分なんじゃが」
「スカリオン殿が戻ってこいと言ってるっちゃ」
「そうはいかぬのぅ、ここに水神竜が現れるかもしれぬのじゃ。それにこやつら・・・久々にうまそうな獲物じゃ」
下なめずりしながら俺たちを見回す女性。どうやらこの人たちも水神竜を狙っているらしい。ということは、この人たちが先日来た人間ってことか。
「こいつら何者だ?」
「さぁな。水神竜を狙ってるらしい」
臨戦態勢に入った俺たち。すると今度は俺たちの真上が眩しいほどに光輝いた。
「今度は何よ!!」
「あぁ・・・」
その光が何なのかと視線をそちらへ向けると、俺たちの周囲にあったはずの海の水が割れるように捌けていく。
「水が・・・」
「海が割れ・・・」
「何なのこれー!?」
辺りなら水がなくなると上空に水の球体に覆われている人影が現れ、その人の周りからも水がなくなると姿が確認できるようになった。
長い髪をした男性の頭には二本の角が生えており、その顔にはタトゥーが彫られている。
「水神竜様ぁぁぁぁぁ!!」
「私の海が騒がしいな」
支配人のカシマさんは顔を押さえながら叫ぶように彼の名前を呼ぶ。冷静にこちらを見下ろしている男性を見て、俺たちは目を見開いた。
「水神竜!?」
「人間!?」
水神竜と呼ばれた男性はどこからどう見ても人にしか見えない。
「水神竜・・・様・・・」
周囲の水がなくなったことにより魚の姿である支配人は息が絶え絶えになっている。しかし水神竜と呼ばれた彼はそれに構うことなく話を続ける。
「ドラゴンの血を求めし者たちよ、今すぐこの地を去れ」
冷静沈着な男性の一言。しかしそれには鎧の男と目付きの悪い女性は反論した。
「やっと出てきたのぅ、この時を待っておったぞ」
「キリア殿、無策で勝てる相手じゃないっちゃ」
「いいや、ワシに斬れぬものはない」
水神竜に対して強気な女性はすぐにでも突撃していきそうだったが、今度は二人の身体に異変が起きる。
「これは・・・」
「なんだ!?」
「あいつらの身体が・・・」
「灰!?」
二人の身体が灰になって消えていく。その姿を見ると以前対峙した天使たちの最後を思い出してしまい身体が震えたが、どうやら彼らの場合は違ったようだ。
「スカリオンか!?余計なことを!!目の前にいるのじゃ!!水神竜が!!帰ったらただじゃおかぬぞ!!スカリオン!!」
「では、バイっちゃ」
仲間の魔法のようでそのまま灰となって姿を消す二人。残された俺たちは互いに顔を見合わせていた。
「何だったのだ、今のは」
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