第八十三部第四章 戦線崩壊その二十六
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「戦線は次々に食い破られる」
「今の我々の戦力では」
「既に謎の魚雷攻撃で受けてです」
「損害を受け精神的に消耗しています」
「そこで敵の今の戦力で総攻撃を受ければ」
「我々は」
「敗れる」
まさにというのだ。
「そうなるからだ」
「だからですね」
「我々としては」
「敗れる」
「そうなりますね」
「危うい、だが」
それでもとだ、アブーは言った。
「ここで敵に背を向けるとだ」
「撤退に向かうと」
「そうするとですね」
「敵に無防備な背中を向け」
「そうしてより多くの損害を出しますね」
「そうなりますね」
「そうなるからだ」
だからだというのだ。
「わかるな」
「はい、ここはです」
「敵の攻撃を凌ぎきれないですが」
「それでもですね」
「あえてその一撃を受け」
「そうしてですね」
「敵の一撃は背中で受けるよりもだ」
無防備で弱点の塊と言っていいそこでというのだ。
「守れる正面で受けることだ」
「そうすべきですね」
「ここはですね」
「あえて受け」
「それからですね」
「退く、ここで敗れるとだ」
それはというと。
「戦争の趨勢自体が決してしまう」
「そうなりますね」
「まさに」
「ここで敗れると」
「そうなりますね」
「だがそれでもだ」
ここでの敗北はティムール軍にとってそれだけのダメージとなる、だがアブーはそれでもと言うのだ。
「戦力は少しでもだ」
「残すべきですね」
「敗北しようとも」
「それでもですね」
「一兵でも一隻でもな」
まさに僅かでもというのだ。
「残してだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「次につなげる」
「そうしますね」
「敗北で諦めないことだ」
それが例え趨勢を決めるものでもというのだ。
「それはわかっているな」
「はい、戦いは最後の最後までです」
「最後に立っているかどうか」
「それが戦争です」
「最後に立っている者が勝者です」
「途中どれだけ敗れようとも」
「だからだ」
それ故にというのだ。
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