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おっちょこちょいのかよちゃん
274 杯は探知できず
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了させた。
(長山君、か・・・。確か北勢田の知り合いの少年だったな・・・)
 三河口は別の人物に通信を試みた。
『はい、こちら長山治』
「こちら杯の奪還に動いている三河口だ。長山治君・・・、だったね」
『はい』
「確か君は神通力の眼鏡で遠くの物を見通す事ができるはずだったね」
『あ、はい』
「安藤りえちゃんが持っていた杯を知っているかい?どこにあるのか情報が掴めないんだ。それで君に探知を頼みたいのだが・・・」
『あ、うん、やってみるよ』
「ごめんね、藤木君の捜索も頼まれているというのに」
『いや、気にしないでください』
 通信を終了させた。
「三河口、杯の捜索を頼んだのか?」
 湘木が聞いた。
「ああ、俺の見聞の能力(ちから)だけでは無理だ。そこで北勢田の知り合いの小学生に援護を頼んだんだ」
「見つかるといいんだがな・・・」
「それでも見つけられなかったら途方に暮れるだけだが、もし吉報があればゆりちゃん達にも連絡するよ」
「ああ」

 東部の平和主義の世界と戦争主義の世界の境界近く。長山は藤木の捜索と合わせて奪われた異世界の杯の捜索に当たっていた。
「杯か・・・」
「長山君、私の従弟からの頼まれごとね」
 護符の所有者・羽柴さりが聞いた。彼女も従弟と長山の連絡内容を聞いていたのだった。
「はい、その人の見聞の能力(ちから)でも見つからないっていうので」
「そうね・・・」
 さりは自分の持つ護符で杯を吸い寄せられたらと思っていた。しかし、杯を上手く取り返せるような道具や能力をその場に出したり発動させる事はできなかった。
(この護符もできる事には限界があるのね・・・)
 以前、最上位の強さを持つ道具の一つである護符はテレーズの能力(ちから)で七つの神を操る能力を得て進化させる事に成功させたものの、神を扱う物は身体に相当な負担をかけてしまう弊害もある事もさりは知っていた。
(どうか、従弟かゆり姉達の力になれれば・・・)
 さりは姉や従弟の為に何かしてやりたいとも思ったが、己の本分は平和主義の世界を守護し、侵入者の迎撃である為、本来の目的から外れた行動をする訳にもいかなかった。せいぜい道具を持っていない従弟に鎖鉄球を護符で出して与えた事はしたのだが・・・。その時、通信が鳴った。
『こちら領土攻撃班、東部の一部の区域を奪還した!』
 東部の攻撃に当たっている領土攻撃班から連絡があった。
「よし、先に進むぞ」
 清正が促した。
「うん!」
 護符の所有者達は奪還された地域へ進んだ。

 氷雪の一帯から大勢の一行が出てきていた。
「藤木君のスケート姿、格好良かったわっ!」
 りえは先程藤木達と共に雪山の中にある氷河にてスケートをしており、藤木から滑り方を教わったり彼のオリンピック選手並みの技術
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