暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
3.5章
3.5−3:御前に捧げる奇術
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み、伝承と若くして死んだ無念も忘れて安らかな眠りについてくれたようだ。その事に颯人は安堵の溜め息をついた。

「そうか……そいつは良かった。……なぁ奏?」
「ん? 何?」
「今度の週末、ちょいとデートに行かねえか?」

 颯人は奏を誘って、博物館で催される特別展へと赴いた。そのメインと言える、ツタンカーメンの仮面を見に。

 2人が見た時、無表情の筈のツタンカーメンの仮面は心なしか笑みを浮かべているような気がした。それを見て颯人は、我が事の様に嬉しそうな笑みを浮かべたのだった。




 そんな彼を、3人の女性が眺めていた。3人の内、カエルのぬいぐるみを抱えた少女と言える体躯の女性が口を開く。

「まさかあの術式を1人で破るとは思わなかったワケダ。一体どうやったのか……」
「流石はあの男の息子、と言ったところかしらサンジェルマン?」
「或いは彼だからこそ、それが出来たと言ってもいいかもしれないわね」

 サンジェルマンと呼ばれた白髪の女性は、颯人に柔らかな視線を向けていた。それが面白くないのか、ぬいぐるみを抱えた少女はフンと鼻を鳴らした。

「とは言え所詮は小僧。サンジェルマンがそこまで入れ込む必要は無いワケダと思うのだが?」
「そう言うんじゃないわよ。さ、行くわよ。これから忙しくなる」
「あ〜ぁ、偶には休みが欲しいわ」

 3人はボヤキながらその場を離れていく。颯人と奏は、離れていく3人に気付く事も無くツタンカーメンの仮面を見ていた。
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