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星河の覇皇
第八十三部第四章 戦線崩壊その二十一

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「我々もだ」
「この度は、ですね」
「決してですね」
「敵の殲滅まぞ狙わない」
「左様ですね」
「そもそもティムール軍は残るとだ」
 戦争が終わった後のこともだ、アッディーンは視野に入れていた。これはまさに政治家としてのビジョンだった。
「サハラの軍に入るな」
「まさに」
「そうなりますね」
「その時は」
「軍の数を揃えることも難しい」
 この時点でというのだ。
「既にな」
「数を揃えるといいましても」
「ただ徴兵すればいい訳ではありません」
「収容する設備や持たせる武器、乗せる艦艇のこともあります」
「大軍には多くの予算が必要です」
「その時点で既にですね」
「その時点で難しいのだ」
 軍の数を揃える、その時点でというのだ。
「兵なぞ幾らでもいる」
「そうした戦は出来ないですね」
「到底」
「ただ数だけを揃えた軍隊で戦う」
「戦争はそうしたものではないですね」
「そうだ、そしてそこからだ」
 数を揃えてというのだ。
「さらにだ」
「戦える軍隊にする」
「教育と訓練を施し」
「予算と時間をかけて」
「そうしなければならないですね」
「そこまでしないといけない」
 多くの予算と時間をかけてというのだ。
「強力な軍隊を持つ為にはな」
「左様ですね」
「兵士から将帥まで揃え」
「そして強力な兵器を持つ」
「物資も用意する」
「基地もなくてはならない」
「そこまで考えますと」
 軍司令達も口々に言うのだった、アッディーンに対して。
「強力な軍隊は失ってはいけないです」
「例え今は敵軍であっても」
「戦後のことを考えるべきですね」
「戦争の後は自分達の軍隊になるので」
「勝利は手に入れてだ」
 そしてというのだ。
「損害は与える、だがだ」
「無闇には与えない」
「殲滅は狙わない」
「勝利を収めても」
「そこまではですね」
「勝利を収めることは第一でもだ」
 例えそれでもというのだ。
「敵戦力を殲滅することを狙うとだ」
「こちらの損害も大きくなりかねず」
「そしてその後もですね」
「こちらの戦力になる者達を潰してしまう」
「だからよくないですね」
「若しこちらの戦力にするつもりがないならいい」
 敵戦力を殲滅してもというのだ。
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