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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
成り行きであたしは、感動の再会の手伝いをする
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ったのかは知らない。
でも、この北斎さんは死ぬほどマイさんに会いたがっている。
女性のマスターと女性のサーヴァント。
そんな共通点を見つけ、あたしも是非力になってやりたいと思った。

その時だ。

「それでマイは……なんだいありゃ?」
「クルーザー?にしてはなんか…。」

穏やかな海の静けさを掻き消すように、けたたましいモーター音が聞こえてくる。
音の正体は数隻の小型艇。
それらはこの船の近くまでやって来ると、船を包囲するような形で止まった。

普通のクルーザー?違う。
上に備え付けられているのは巨大な機関銃。いわゆる銃座がそれを証明している。
さらに船の側面に隠すことなく堂々と書かれた文字。

『葛城財団』

「!!」

その瞬間、船めがけワイヤーが射出される。
それは船縁に引っかかると、キュルキュルと言う音と共に高速で巻かれ、白い迷彩服を身にまとった男達がそれを伝って飛び乗ってきた。


「なんだ君たちは!?」
「葛城財団だ。見れば分かるだろ?」

奴らは次々と乗り移ると乗客や乗組員問わず銃を向ける。
そしてあたしのいる場所…近くの北斎さんを見ると隊長らしき男はニヤリと笑った。

「この船は我々葛城財団実働部隊、通称『谷岡部隊』が占拠した。」

谷岡。
そう名乗った男は周囲を見渡してから一旦銃を下ろす。

「この船にマスターのいない葛飾北斎が乗り込んだと聞いた。お前だな?」

そうして彼は、あたしの隣にいる北斎さんに話しかけてきた。

「だったらどうだってんだい?」
「マスターの名前を言ってみろ。それとも当ててやろうか?お前のマスター、それは『葛城 舞』だろ?」
「……。」
「ははーん。その顔、図星ってカンジだな?」

谷岡はニヤけた面のまま、何も言わず仏頂面の北斎を見、そして乗客たちの方へ振り返る。

「さて、ここで取引だ。葛飾北斎。大人しく俺達とともに本部へ来てもらう。もし嫌だと言うのならば…俺はあまり人殺しは好まんのだが仕方なくこの船の乗客全員を…。」

と、乗客達の不安を煽る。
やつの言いたいことはこうだ。
今乗客全員はある意味人質。
抵抗することなく同行すれば、彼らの命は救われる。
さらに、

「本来ならサーヴァントを捕まえるのが俺たちの仕事。だが北斎さえ捕まればここにいるサーヴァントは見逃してやるよ。どうだ?」

乗客にもマスターはいる。
葛城財団は女性のサーヴァントは見つけ次第捕獲してくる連中だが今回だけは特別。
北斎さえ手に入れば、あとはどうでも良い。

北斎さえ捕まれば、
北斎さえ差し出せば。
その破格の条件を出され、周囲の人間の心は大いに煽られる。

「断る。」

はずだった。

「おいそこの。な
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