第十二話 恐竜までもがその四
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「おおむね平民のことを考えてな」
「政をやってたんやな」
「奴隷に寛容で民族的な偏見もなくてな」
「そうした人やったか」
「内政はしっかりやって」
そうしてというのだ。
「ちゃんとローマの国家戦略も理解してな」
「戦もしてたか」
「みだりにせんでな、税制もっかり定めて」
「それもやってたんやな」
「文化政策もしてたし」
こちらの政も怠らなかったというのだ。
「まあ多分にギリシア文化に傾いて当時身分の低かった芸人さんを大事にして」
「それがか」
「貴族には嫌われたけどな」
「それが問題やったか」
「奴隷にも寛容やったしな」
「今見るとええことでもか」
「貴族から見たらな」
「当時貴族は元老院に多かったな」
ここでだ、芥川はこのことを指摘した。
「それで元老院から嫌われたな」
「そやった、しかしローマで火事になっても」
「あの大火災やな」
「陣頭指揮を執って火の粉がかかっても指揮してた」
「自分が火を点けたっていうデマがあってもな」
「そのことは評価されてた」
そして適切な救済処置を執った、ネロはこうしたこともしっかりと行ったのだ。
「よく言われるキリスト教徒への弾圧はな」
「あれやな」
「当時キリスト教はローマ帝国の皇帝への忠誠よりもな」
「神への忠誠を説いてた」
「ローマの統治の邪魔になってた」
「そやから弾圧したな」
「カリギュラからな」
このことはネロが最初ではなかったのだ。
「当時から見たらローマの中の不穏分子の粛清や」
「それやったな」
「皇帝を支持してたらな」
例えキリスト教徒でもというのだ。
「別にや」
「弾圧せんかったな」
「ネロもな」
「そやな」
「ただネロには弱点があった」
ここでリーは険しい顔で述べた。
「この人は国家戦略は理解してや」
「それに基づいて軍を動かせたな」
「しかし軍にいたことはなくてな」
「軍を直接指揮出来んかったな」
「そやった、それで叛乱を起こされるとな」
この場合はというのだ。
「自分から軍を率いて鎮圧は出来んかった」
「当時それはな」
「ローマでは致命的な弱点やった」
皇帝自ら軍を率いることが出来ないことはだ、何故なら初代皇帝オクタヴィアヌスの権勢は軍の最高司令官であり続けたことにあったからだ。事実オクタヴィアヌスも以後のローマ皇帝もいざとなれば自ら軍を率いて戦っていた。ただしオクタヴィアヌスは実質的には部下達が戦い彼は軍事はそこにいるだけだった。
「軍隊を動かせてもな」
「指揮が出来んとな」
「あかん、それでや」
「そこを衝かれてやな」
「失脚してな」
「自殺したな」
「そうなった、しかしな」
それでもというのだ。
「死んでもな」
「人気があったな」
「市民達か
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