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第七十二話 海軍の記憶その九

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「それに白い軍服の人達もいて」
「戦っていたの」
「もう滅茶苦茶強いね」
「その頃の日本軍って白い軍服あったの?」
「なかったみたいよ」
「海軍さんは夏白だけれど」
「それ後だから」
 日露戦争の頃は夏は生地が薄くなったが黒の詰襟そしてセーラー服だった。
「その頃はね」
「なかったのね」
「しかも陸地でね」
「戦っていたの」
「そうしたお話もあるし三笠もね」
 描かれているその艦もというのだ。
「出港の時白い鳥が停まったとか」
「白い鳥ね」
「日本海海戦の前に坂本龍馬さんがね」
「ああ、皇后陛下の枕元に出てね」
「勝つって言ったりね」
「そうしたお話が多いのね」
「そうなのよ」
 こう一華に話した。
「日本にとって負けられない戦争だったけれど」
「その戦争になのね」
「そうしたお話がね」
「多いのね」
「どういう訳かね」
「何か神風とか」
 一華はここまで聞いてこう言った。
「奇跡とか」
「そんな風よね」
 富美子もそれはと応えた。
「もうね」
「そうよね」
「確かに負けたらね」
「日本が滅びる様な」
「そんな戦争だったけれど」
「そうしたね」
 一華も言った。
「不思議な要素もね」
「あるわよね」
「東郷さんの運にね」
「それに加えて」
 さらにとだ、富美子は考える顔で話した。
「不思議なこともね」
「あった戦争なのね」
「ロシアにしたら負ける筈がない」
「そんな戦争だったけれど負けて」
 そしてというのだ。
「日本は何とか勝ったけれど」
「その勝利の裏にはね」
「理屈では説明出来ないこともあったわね」
「お話聞いてたら」
「まさかと思うけれど」
 腕を組んでだ、理虹は言ってきた。
「狐や狸も日本にいて」
「日本を愛していて」
「それで日本の為に戦って」
 軍に参加してだ。
「白い軍服の兵隊さん達は神様がね」
「日本の」
「送った人達で」
「神兵?」
「そうした人達でね」
「日本を助けたのね」
「そしてね」 
 理虹はさらに話した。
「坂本龍馬さんも日本を護る英霊になっていて」
「明治皇后の枕元に出て来て」
「日本海海戦の勝利を言ったのよ」
「それで白い鳥は神様の使いね」
「そうだったのよ、負けると日本がなくなるから」
 そうした戦争だったからだというのだ。
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