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やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか
パラディ島編 第6話 訓練兵団@
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 音を鳴らしながら持ち上げる。少年の身体は抵抗することなく宙へと浮かび、
 苦痛に顔を歪めていた。
 しかし、そんな怒り心頭な男の視界に驚くべく光景が飛び込んでくる。

 男だけではなくその場に整列する入団希望者たちも男の視線の先にいる少女へと
 視線が向けられ、皆額に汗を滲ませながら呆れたというか、
 茫然と彼女の事を見ていた。
 
 「ありえない。」「何を考えているんだ。」「バカなのか?」

 そんな思いが彼らの脳内に浮かび上がってくるが誰も声を発することなく男と
 少女の動向を、固唾をのんで見守っている。

 もちろん俺も、その光景を見ているが、通過儀礼の際中、
 あの少女がこっそり芋を食べ始めたのを見たとき、

 「ばかだ!本物の馬鹿がいる!」

 と、吹き出しそうになった。

 キース「オ、オイ・・・。貴様は何をやってる?」

 サシャ「・・・?」

 彼女の方はというと、自分に男の視線が向けられているとは気付かずに
 口をもぐもぐと動かしながら自分の周りをキョロキョロと視線をずらす。
 右手に丸い芋のようなものをもって・・・。
 それを少女はぱくりと口に運ぶ。

 その光景を見た男は動揺したのか、はたまた、初めて自分の前でこんな
 馬鹿なことをし続けている少女に呆れたのか、一瞬驚くが、
 すぐに彼女の元に駆け寄ると、耳を塞ぎたくなるほどの大声で叫ぶ。

 キース「貴様だ! 貴様に言ってる!! 貴様・・・何者だ!!?」

 サシャ「・・・んっぐん。ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身?
      サシャ・ブラウスです!」

 さっきまで芋を食べていたとは思えない勇ましい通った声が辺りを響かせる。
 周りが驚愕の表情を浮かべる中1人、彼女だけは真摯に男の目を見る。

 キース「サシャ・ブラウス・・・。貴様が右手に持っているものは何だ?」

 サシャ「『蒸かした芋』です!調理場に丁度頃合いの物があったので!つい!!」

 キース「貴様が盗んだのか!?・・・それは今はいい。
     ・・・なぜだ・・・。なぜ今・・・芋を食べだした!?」

 サシャ「・・・冷めてしまっては元も子もないので・・・。
     今食べるべきだと判断しました。」

 キース「!? イヤ、わからないな。なぜ貴様は芋を食べた?」

 サシャ「? それは『何故人は芋を食べるのか?』という話でしょうか?」

 俺は、その言葉を聞いて、思わず吹き出ししそうになるが、何とか耐えた。

 ヒョウ「プッククク・・・」

 ・・・耐え切れなかったやつもいるが。

 そんな馬鹿を見るような目で、サシャを見ているものの中で
 1人ハチマンをじっと見つめる少女がいた。


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