第十一話 地夢その十三
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「どんなことでもね」
「されますね」
「そのもう一人の姉さんからね」
「本来の丁様をですね」
「助けたいけれど」
「しかし」
「その為に誰かを犠牲にする」
このことはというのだ。
「間違っているとね」
「お考えですか」
「そうもね」
こう牙暁に話した。
「どうかしら」
「それは」
「誰かを助ける為に誰かを犠牲にする」
このことはというのだ。
「間違っていないかしら」
「難しいですね、もう一人のあの方は」
「危険ね」
「あまりにも」
その通りだとだ、牙暁も答えた。
「僕から見ても」
「そうね」
「ですから」
それ故にというのだ。
「何とかです」
「もう一人の姉さんは消してね」
「本来のあの方をです」
丁をというのだ。
「お助けすべきです」
「そうね」
「ですが」
「だからといってね」
「誰かを犠牲にする」
「それは間違っていて惨いこともね」
「されたくないですね、本音では」
牙暁はここで庚を見た、そのうえで彼女を見ると悩み吹っ切れないそうした顔でいてその場にいた。
「そうですね」
「もう一人の姉さんは放っておくとね」
「世界にとってもよくないです」
「ええ、人はね」
「利用してですね」
「自分が存在する為の糧としかね」
その様にというのだ。
「思っていないから」
「何をしてもですね」
「おかしくないわ、しかも力は」
それはというと。
「誰よりも。それこそ姉さんとね」
「同じですね」
「姉さんの力は強いわ」
庚のそれはというのだ。
「非常にね」
「まさに世界を揺るがすまでに」
「確かに五感は持っていないけれど」
「五感よりもです」
「あらゆることが見えて聞こえていてね」
「感じられて」
「知っているわ」
そうだというのだ。
「そうよ」
「そしてお力も」
「夢見であり」
「それだけでなく」
「持っている力そのものがね」
まさにというのだ。
「この世を揺るがす様な」
「恐ろしいものですね」
「そうよ、けれど姉さんはね」
「そのお力を自重されていて」
「自分の為にはよ」
「使われません」
「ただ夢見、身代わりとしてね」
その立場でというのだ。
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