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X ーthe another storyー
第十一話 地夢その十二

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「動かないのね」
「その様です」
「彼は妹さんを殺して」
「地の龍になりますね」
「人の痛みを感じる心が消えてね」
 そうなってというのだ。
「そのうえでね」
「妹さんを殺し」
「こちらに来るわ」
「そうなりますね」
「ええ、神威が天の龍になれば」
「その時は」
「けれど今は」
 庚はさらに言った。
「見ているだけね」
「何も語らず」
「そうなのね」
「はい、誰にも」
「わかったわ、では神威が来てもね」
「いいですか」
「彼が地の龍を選ぶなら」
 そうであるならというのだ。
「迎え入れるわ」
「そうですか」
「どちらでもね」
「わかりました、それでは」
「彼も待つわ、しかしね」
 庚はここでだった。
 眉を曇らせてだ、こうも言った。
「運命でしかも自分の心を失ってのこととはいえ」
「自分の妹さんを殺す」
「惨いことね」
 こうも言うのだった。
「思えば」
「そうですね」
「あのね、私はね」
 庚は難しい顔で述べた。
「確かに姉さんと袂を分かってね」
「地の龍を束ねる立場になられましたね」
「そうなっているけれど」
「残酷なことはですね」
「望んでいないわ」
 決してと言うのだ。
「惨いことはね」
「左様ですね」
「人をいたぶる趣味もないし」
 そもそもというのだ。
「それを見る趣味もね」
「ないですね」
「だからね、地球の為いえ」
「丁様の為にも」
「それでも誰かが犠牲になって」
「ましてやですね」
「自分の大事な人を殺すことはね」 
 そうしたことはというのだ。
「例え我を失っていても」
「見たくはないですね」
「ええ、思うことがあるわ」
 庚はさらに話した。
「私は誰かを犠牲にしてね」
「丁様をお救いすべきか」
「そうもね、もう一人の姉さんは危険よ」
「あの方については」
「私は表で言っているだけだけれど」 
 人間を滅ぼすとだ。
「それでもね」
「あの人はですね」
「もう一人の姉さんはね」
「違いますね」
「人間の滅亡ではなく」
「ご自身の為に利用する」
「存在し続ける為に」
 その為にというのだ。
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