暁 〜小説投稿サイト〜
神々の塔
第十一話 魔王と呼ばれる者達その十一

[8]前話 [2]次話
「ニコ狆先生というのを書いてた」
「忍者もんでか」
「その頃の日本が舞台でな」
 作品の描写からまさに大戦中であることがわかる、煙草の配給がどうとかそうしたことが書かれている。
「それでいいと思って女の人がおったら」
「その人が忍者やった」
「いや、その人のお父さんが忍者で」
 そうなっていてというのだ。
「忍術の道場の先生やったんや」
「そやったか」
「それで娘を欲しかったらな」
 それならというのだ。
「忍者になれってな」
「そう言うたんか」
「それで煙草の煙で姿消すとかな」
「そんな忍術かいな」
「そやってん」
 この作品ではというのだ。
「これがな」
「成程な」
「それで煙草のニコチンとな」
 これと、というのだ。
「その先生の顔が犬の狆そっくりで」
「それでニコ狆先生か」
「そうなってるんや」
「それはおもろいな」
「織田作さんはこうした作品も書いてたんや」
「夫婦善哉とか以外にもやな」
「大抵大阪を舞台にしていてな」
 この作家が大阪で生まれ育ってきた為だ。
「それでな」
「そうした作品もあったんやな」
「そやったんや」
「それはおもろいな」
「実際おもろいで」
 芥川は笑って答えた。
「織田作さんの作品は」
「そやねんな」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「是非な」
「読むべきやな」
「読んで損はせん」 
 一切というのだ。
「娯楽小説やしな」
「織田作さんは」
「楽しめる、そもそも純文学もな」
「娯楽やな」
「面白く読むかええ知識を備えたり人生の糧をな」
「得るもんやな」
「そや、肩肘張って読むもんでもない」
 純文学といってもというのだ。
「楽しんでや」
「読むもんやな」
「堅苦しいのは哲学書だけで充分や」
 芥川はこうも言った。
「僕はあまり読まんけどな」
「哲学書はかいな」
「ああ、どうも苦手や」
「哲学書だからといってええか」
 ここでリーが言ってきた。
「それはや」
「全部が全部言えんな」
「ああ、あかん哲学書もあるわ」
「中には」
「読むに値せん様な」
 そこまでというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ