第七十一話 陸軍と海軍その十
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「自分だけよ」
「逃げるわね」
「いざって時はね」
「助けもしないわね」
「だって何の関係もない人が殺されてもよ」
テロによってというのだ。
「権力に反対するなら殺人もいいなら」
「あれね、殺された人の痛みとかね」
「命の重みとかね」
「苦しみや絶望も」
「何も気にしないで」
「遺族の人達がどう思うかもよ」
そうしたこともというのだ。
「一切考えないし考えようともしない」
「自分がそう考えているからいいね」
「そんな冷酷で自分勝手な奴なんて」
「自分だけが大事でね」
「自分がテロ組織に捕まったらね」
「必死に命乞いするわね」
「自分だけ助かろうとね」
そう考えてというのだ。
「もうよ」
「必死にするわね」
「それで他人はね」
「どうなってもいいわね」
「それに権力に逆らう連中の考えをね」
それをというのだ。
「見ないでただ権力イコール悪とか」
「そう考えてね」
「反権力イコール正義で」
そうした考えでというのだ。
「カルト教団とか過激派とかが若し政権に就いたら」
「自分達が権力奪うの狙ってる場合あるしね」
「そうしたテロする連中ってね」
「そんな連中が権力握ったら」
「私知ってるわよ」
ハンガリーから来た娘は目を怒らせて言った、酒で赤くなった顔にそれはかなりの迫力が存在していた。
「ソ連よ」
「あの国ね」
「ポリシェヴィキが政権握ってね」
「テロも辞さない連中がね」
「ああなったのよ」
「大粛清とか」
「そうよ、ポリシェヴィキって手段選ばないのよ」
一切、そうした言葉だった。
「弾圧だってね」
「権力握るまでもそうで」
「それでそんなこと言う馬鹿こそね」
「真っ先に粛清よね」
「だってそんな馬鹿何も出来ないし」
それにというのだ。
「ああだこうだ言うだけだから」
「邪魔でしかないわね」
「だからね」
「真っ先によね」
「粛清されるわ」
そうなるというのだ。
「まさにね」
「そうなるわね」
「そうよ」
こう留奈に話した。
「絶対にね」
「そうした奴こそなのね」
「ソ連とかだと粛清されるわよ」
「そういえば愛人とソ連に亡命した人いたわね」
留奈はここでこの人物を思い出した。
「名前忘れたけれど」
「それ何時のソ連?」
「スターリン時代の」
「ああ、それ死んだわ」
即答であった。
「その頃のソ連ならね」
「そうなったわよ」
「やっぱりね、スパイと思われてね」
ソ連の絶対のワードである、誰でもそういうことにされて次から次にと粛清されていったのである。
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