第九十二話 合宿を終えてその十二
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「餓鬼になるのです」
「あまりにも浅ましく卑しくて」
「もうどうにもです」
それこそというのだ。
「ならないのです」
「どんな宗教や哲学も届かないですか」
「そういったものは人の教えですね」
それであるとだ、速水は咲に話した。そこに話しているものは彼の確かな考えがあってだとその目に出ていた。
「人が救われるものです」
「人の教えなので」
「その人の最底辺を抜いて」
「餓鬼にまで堕ちたら」
「もうです」
それこそというのだ。
「救われないのです」
「仏教でもそうで」
「他の宗教でもそうであり」
「それが哲学でもですね」
「どれだけいい教えを聞いてもです」
それでもというのだ。
「受け入れないか捻くれた批判をするか」
「そんな風で」
「どうにもです」
「ならなくて」
「生きているうちにもう餓鬼であり」
そしてというのだ。
「死ぬとです」
「身体も餓鬼になって」
「棲む場所も餓鬼道になり」
「一万五千年も苦しみ抜くんですね」
「そうです、こうした人は仏教だけでなく」
「他の宗教でもって言われましたね」
「その通りです、それがキリスト教でもどの宗教でもです」
「あまりにも酷いとですか」
「救われません、どんな人でも救われる筈ですが」
それがというのだ。
「あまりにも酷い、人ですらなくなっていますと」
「救われないですか」
「救われるにもある程度の資質が必要なのです」
速水は真顔で話した。
「人であることです」
「全く駄目だと救われないんですね」
「ヘドロは何処までもヘドロですね」
「ヘドロ以外にはならないですか」
「そうです、そしてヘドロは最初は細菌もいますが」
「それがですか」
「さらに腐敗が進めば」
ヘドロがそうなればというのだ。
「もうです」
「その細菌もですか」
「いなくなります」
そうなるというのだ。
「腐り過ぎてもうどんな細菌もいられなくなり」
「何もいなくなりますか」
「腐りきった世界はやがてそうなり」
「人もですか」
「腐りきりますと」
「どうにもならなくなるんですね」
「小山さんもご存知の神戸の天理教の教会の信者さんだった人も」
その人もというのだ。
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