第四幕その八
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「意義のあるね」
「素晴らしい戦いだったね」
「そう思ってるけれど」
「日本じゃ最近までそう思われていたんだ」
「否定されていたんだね」
「それは何故かというとね」
先生はおかずのキンピラ牛蒡を食べながらお話しました。
「戦後の日本の知識人の人達はマルクス主義が強かったね」
「ああ、それからなんだ」
「そう、それでスターリンがあの戦争を侵略戦争と言って」
「それからなんだ」
「否定される様になったんだ」
「乃木大将もだね」
「日清戦争もだったしね」
この戦争もというのです。
「それでなんだ」
「否定されていたんだ」
「日本軍が規律正しい軍隊だったことも言わないで」
それでというのです。
「逆に略奪暴行をしたともね」
「それ嘘だよね」
「そんな嘘も平気で吐いて」
そうしてというのです。
「しかも戦争の後でね」
「その後でなんだ」
「あの戦争で日本は物凄く沢山の戦費を使ったね」
「うん、当時の日本の国家予算の数年分をね」
「それで戦争の後必死に戦費に使う為に借りたお金返したよ」
「第二次世界大戦が終わっても」
「そうなって」
先生はさらにお話します。
「ロシアからは戦争に勝って領土と独立を得たけれど」
「そうした意味で凄かったね」
「戦争が勝った時に貰う賠償金はなくて」
「お金は貰えなくてね」
「国民の人達が怒ったけれど」
それでもというのです。
「何故か日本の学者さんではこうしたことを言う人がいるよ」
「どういったことかな」
「当時の日本の政治家は戦争をすれば儲かるって錯覚したってね」
「そんな筈ないじゃない」
王子はお野菜の佃煮を食べつつ即座に言葉を返しました。
「今お話してる通りだよ」
「借金で大変なことになったね」
「勝ったけれどね」
「それで以後日本は好戦的になったってね」
「それ学者さんが言うんだ」
王子の口調は呆れたものになりました。
「まともに歴史勉強してるのかな」
「僕もおかしいと思うよ」
「そうだよね」
「けれどマルクス主義があったから」
「スターリンが日露戦争を侵略戦争と言ったからだね」
「そのマルクス主義のソ連の独裁者のね」
悪名高いこの人がというのです。
「そうだったんだ」
「成程ね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「そんな学説もだよ」
「通用したんだ」
「けれどこんなこと素人でもわかるね」
「うん、誰だってね」
王子もその通りだと答えます。
「僕だってわかる位だし」
「僕は歴史学者でもあるからね」
「それはおかしいとだね」
「言えるよ、こんな意見が通用して」
「そんなこと言う人が学者さんとしてやっていける」
「それが戦後の日本だったんだ」
「碌でもないね」
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