第四幕その七
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「よいのう」
「あれっ、信長さんってまさか」
「お菓子お好きですか?」
「お茶にはお菓子ですが」
「ひょっとして」
「信長さんお菓子が」
「お菓子だけでないぞ」
信長さんは恵梨香達五人に笑ってお話しました。
「果物も好きじゃ」
「殿は昔から甘いものがお好きでな」
柴田さんが言ってきました、それも微笑んで。
「瓜や柿をよく好まれてじゃ」
「お菓子もですか」
「お好きなんですか」
「昔からっていいますと」
「戦国時代からですか」
「その頃から」
「そうそう、それでじゃ」
今度は前田さんが言ってきました。
「元服前に瓜を齧っておられたのじゃ」
「貴殿達も知っておるかな」
四角い穏やかなお顔の人が言ってきました。
「それは」
「確か吉法師と呼ばれた時の」
「その時じゃ、わしは池田というが」
「池田恒興さんですか」
「うむ、名を勝三郎という」
池田さんは恵梨香に笑って答えました。
「わしは殿がご幼少の頃からお仕えしているが」
「吉法師さんと呼ばれた頃から」
「その頃から甘いものがお好きでな」
それでというのです。
「瓜や柿を好まれていたのじゃ」
「甘いものをですね」
「そして今もな」
「だからこうしてじゃ」
信長さんはまた言いました。
「甘いものをじゃ」
「召し上がられるんですか」
「左様、茶を飲んでな」
そうしてというのです。
「菓子や果物をじゃ」
「お口にされるんですね」
「それが楽しみじゃ」
「殿は今では洋菓子や唐の菓子も好まれるぞ」
少しお歳の人が言ってきました。
「紅茶や中国茶も飲まれてな」
「そちらもですか」
「うむ、かく言うこのわし林新五郎通勝もな」
ご自身で笑って名乗りました。
「殿のご相伴に預かりな」
「甘いものをですね」
「楽しんでおる」
「いや、甘いものはまことによいのう」
信長さんは笑ってこうも言いました。
「だから毎日茶を飲みな」
「そうしてなんですね」
「楽しんでおるのじゃ」
「ううん、何か意外ですね」
恵梨香はここまで聞いて言いました。
「信長さんが甘いものがお好きなんて」
「お酒がお好きと思ってました」
神宝は正直に言いました。
「信長さんは」
「日本でお話を聞いてますと」
それならとです、ジョージも言います。
「信長さんが甘いものがお好きとは思えなくて」
「本当に意外です」
カルロスもこう思っています。
「だからお茶がお好きですか」
「何か凄く楽しそうですね」
ナターシャは信長さんのにこにことしたお顔を見ています、そのうえでの言葉です。
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