第128話『コスプレ』
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奈のコスプレは『応援団』といったところか。この学校の制服とは少し違う学ランを羽織っており、ハチマキが男らしさを際立たせている。晴登達に女装が似合うように、莉奈達も男装がよく似合いそうだ。
「……あ、ハルト。これどうかな? 似合ってる?」
「……っ」
教室に一番最初に入った晴登の目に映ったのは、短めの髪を後ろに結び、黒の執事服と白の手袋に身を包んだ結月。誰が与えたのか、伊達眼鏡まで装備している。
どこからどう見ても『美少年執事』。やっぱり、初見で結月を男子だと見間違えたのは仕方ないと思う。だってあまりにも美形なのだから。思わず息を呑む。
「か、かっこいいよ」
「? 何で目逸らすの?」
「いや、だって……」
視線を外して冷静さを保とうとするが、心臓の音が鳴り止まない。普段の姿ならまだしも、男装を見て胸がドキッとするなんて、これではまるで男相手に恋をしているみたいではないか。
「おやおや? 晴登ったら顔が赤いよ? もしかして結月ちゃんがかっこよすぎてドキドキしてる?」
「ち、違……くないけど」
「? それならハルトだって可愛いよ! お姫様って感じで、ボク羨ましいなぁ」
「そんなことないって……!」
莉奈にいじられ、結月に女装を見られ、あまつさえ世辞ではない本心からの褒め言葉を受ける。もう色々な感情がごちゃ混ぜになって、穴があったら逃げ込みたい気分だ。
そうして顔が真っ赤になった晴登を見て、莉奈はついに禁断のアレを取り出した。
「あ、そうだ。ちょっとそこのカップル2人、写真撮るからポーズして」
「は!? ちょ、写真はダメだって!」
「いいよ〜。ほらハルト、並んで並んで!」
「無理無理無理無理! こんな姿写真に残したくない!」
写真だけは嫌だと、晴登が必死に抵抗する。だって女装なんてするだけでも黒歴史なのに、記録に残ろうものなら大人になってもいじられる未来が見えるのだ。
「強情だなぁ。結月ちゃん、やっちゃって」
「りょーかーい」
「え、何? 何すんの──うわ!?」
しかし晴登が拒否しても、パートナーである結月が容認している時点でこの抵抗は無意味と化す。現に晴登は結月にお姫様抱っこされてしまい、逃げ場が無くなってしまった。
「ちょ、恥ずかしいんだけど!」
「ボク、ずっとハルトのことこうやって持ち上げてみたかったんだよね」
「今じゃなくていいじゃん! 降ろしてって!」
「だって、フウカさんだけずるいんだもん」
「あの時は、その……仕方ないじゃん!」
自分の欲望と対抗心に忠実な結月に対して、ああだこうだと頑なに嫌がる晴登。その姿はさながらワガママお嬢様だ。そん
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