第128話『コスプレ』
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ていたが、まだ顔付きも体付きも子供だからか意外と違和感を感じない。街中に出ても恥ずかしくないレベルだ。その時は知り合いには会いたくないけど。
「はっはっは! 傑作だなぁ晴登!」
「そう言うお前もな、大地」
晴登のコスプレを見て高らかに笑い声を上げる大地。彼のコスプレは『メイド』だ。黒色と白色を基調とした、イメージ通りのメイド服である。
「おかえりなさいませ、ご主人様……なんてな」
「何でそんなノリノリなんだよ」
晴登のコスプレが『お嬢様』ということもあって、『メイド』の大地がその月並みな言葉を言っても違和感が全く働かない。
周りを見渡すと、制服やチアコスなど、全員バラバラなコスプレをしていたがどれも完成度が高い。
そしてその一角で、一際目立つ人物を発見した。
「柊君、そのコスプレよく似合ってるね」
「三浦君!? は、恥ずかしいから見ないで……」
晴登が声をかけると、狐太郎は元々着ていたパーカーを上から羽織って小さな身体を隠そうとする。
「それって『巫女』のコスプレだよね? 別にそこまで恥ずかしがらなくていいんじゃない? 俺なんてこんなんだし」
「でもこれじゃ耳も尻尾も目立っちゃうよ〜」
「……いや、コスプレだから逆に目立たないかも」
白衣に赤い袴の、よく見るタイプの巫女服を身にまとっている狐太郎。晴登のヒラヒラワンピースと比べると、落ち着いたコスプレだとは思う。
ただ、彼の懸念はそこではなく、コンプレックスである耳や尻尾が目立つことにあった。だが、むしろそれが狙いだろう。ケモ耳や尻尾なんてコスプレではよくあるし、お客さんもまさかこれらが本物だとは思うまい。やけにクオリティの高いコスプレと認識してもらえれば御の字だ。
「だから自信持ってこう!」
「う、うん……!」
狐太郎が耳と尻尾を気にしているのはクラスでは周知の事実。確かに変かもしれないけど、受け入れることが難しい訳じゃない。もっとみんなに受け入れてもらうためにも、彼に必要なのは時間と自信だ。この文化祭で、彼が少しでも自分に自信を持てるようになって欲しい。
「あと、伸太郎はどこに──」
「男子達〜、もう入っていいよ〜」
とりあえず仲の良い友達の女装は全部見たいと思って伸太郎を探していると、教室の中からお呼びがかかる。
しかし、女子に女装を見られる羞恥心から、誰も教室に入ろうとしない。
「何で誰も入って来ないの? あ、ほら晴登、早く来なって」
「え、何で俺からぁあぁ!?」
男子が誰も教室に入って来ないことに痺れを切らした莉奈が、ドアをガラッと開けて目の前にいた晴登の手を無理やり掴んで引き込んでいく。
ちなみに莉
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