第八章
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「ちぇっ」
「いいわね」
「わかりました」
それでもこれは命令である。命令ならば従わないわけにはいかなかった。
「それじゃあ」
「じゃあこれからまた」
「はい」
「宜しくね」
こうして彼等も再び集まった。氷川もまた戦場に戻って来た。人の未来を守る戦いに。
津上は今レストランを後にしようとする。後ろには真魚、そして美杉親子がいた。
「翔一」
太一が店の玄関にいる彼に子をかけてきた。彼等は津上を見送る場所にいた。
「戻るよな」
「ああ」
津上はその言葉に笑顔で応えた。
「すぐに戻るさ。それでまたレストランをやるよ」
「早く戻って来いよ」
教授も彼に声をかける。その顔は優しく微笑んでいた。
「何時でも店をやれるようにしておくからな」
「はい、すいません」
「こう言ったら何だけれど」
今度は真魚が言ってきた。
「今の戦いが終わったらすぐに戻ってきてね。それでお店を」
「わかってるさ。だから」
「泣いたりすることはしないから」
真魚も笑顔を見せてきた。
「だって翔一君はすぐに帰って来るからね」
「そうさ。俺はすぐに帰って来る」
津上もそれを約束した。やはり笑顔で。
「何があってもな」
「そうだ。だから」
「頑張れよ」
美杉が声をかけた。
「何があってもな。いいな」
「うん」
また太一の言葉に頷く。
「皆の為に」
「そして」
教授がそれに応えて言う。
「今の為にな」
「そうですね。皆の今の為」
彼もそれがわかっていた。人の現在、それを守る為に彼は戦おうと今決意した。
「じゃあ」
「翔一君」
最後に真魚が声を送ってきた。
「また皆で翔一君の料理食べようね」
「うん。腕によりをかけて作るよ」
「ええ」
彼は笑顔で三人と別れた。バイクを駆って戦場に旅立つ。人が今生きているという現在を守る為に。アギトととして。
アギトが道を走る。そこには誰もいない。アギトだけが駆っている。
しかしその右の道からG3Xが姿を現わした。そのままアギトと合流し彼の右斜め後ろに来た。
左の道からエクシードギルスが。彼も合流しアギトの左斜め後ろに位置した。
三人のライダーが戦場に向かう。それを遠くから見詰める二人の男がいた。
「運命が集った」
「はい」
木野と青年であった。青年は彼の言葉に頷いていた。
「今ここにはじまるということか」
「そうです。貴方はまだ行かれないのですか」
「いや」
しかし彼はその言葉に首を横に振ってきた。彼ももう決意を固めていたのである。
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