異伝〜知られざる鉄血の意志〜
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”あの日”――――――私は”黒”にこの身と魂を捧げた。しかし、私は私の意志で帝国を破滅させると決意した――――――この地を忌まわしき”呪い”から解放するために。愛する者が生きる世界を滅ぼさんとするこの身は、もはや人に非ず。世界を闘争に導く”鉄血”として生きる事をここに誓い――――――私が私であると証明するためにここに記そう――――――
私が”鉄血”として生きることを誓ってから間もなく、想定外の出来事が起こった。それは――――――ゼムリアとは異なる世界と繋がり、その世界の一国たるメンフィル帝国が”百日戦役”時に何の前触れもなく登場した事だ。――――――メンフィル帝国はいくつもの想定外を起こした。ロレントを襲撃した帝国軍を皆殺しにした後、ロレントの件を口実に戦争に介入――――――メンフィル帝国の介入によって占領していたハーケン門に加え、五大都市の一角であるセントアークをも占領し、更には息子を託したユミルをも占領した。――――――ゼムリア大陸の軍事国家として恐れられていた帝国軍をも容易に打ち破り、侵略の手を広げ始めたメンフィル帝国に対して抵抗した所で無駄な犠牲者が増えるだけと判断したテオがメンフィル帝国に降伏した話を聞いた時はリィンの件もあり、二重の意味で心配をしたが、不幸中の幸いにもメンフィル帝国は降伏したテオ達に対して危害は加えず、戦後メンフィル帝国の領土として帰属したユミルの領主一家として継続させた。――――――”黄昏”が起きた時”黒の書”にすらも記されていなかったこのメンフィル帝国という想定外は”黒”ごとこの身と魂をも滅ぼす想定外になってくれると期待している。
”黄昏”に導くためには、私自身を含め駒をそろえる必要があった。そんな折に出会ったのは特異な”予見”の才を持った少年――――――奇しくもあのアランドールの息子、レクター・アランドールだった。彼は全てを受け入れていた――――――父親の罪も、これから己が後ろ暗き連中の口封じに遭うだろことも。そんな彼に、私は”駒”としての居場所と、復讐という名の”生きる目的”を与えることにした。それは捨てたはずの憐憫か……手放した我が子に多少なりとも重ねたか。だが、あのアランドールの所業が”黒”による差し金だったとはいえ……その息子までもが雪げぬ罪を被る必要もあるまい。果たして、私が目指す”終焉”まで”予見”しているのかはわからぬが――――――レクターは興味をひかれた様子で私の誘いを受け入れたのだった。
帝国政府の宰相となり間もない頃……政務として四大名門と交流を交わす内に面白い青年と邂逅した。名を、ルーファス・アルバレア――――――どこまでも聡明で、空虚な青年である。彼は私を”父”と呼び、自らの存
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