異伝〜知られざる鉄血の意志〜
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在意義を証明するための乗り越えるべき課題と定めたようだ。……再び”父”と呼ばれることになろうとはなんとも因果な巡り合わせだが……いずれにせよ、私を超えようとする者が現れたということ自体が喜ばしい事だろう。人は”呪い”に屈するばかりではないと盤上の駒では終わらないと可能性を示してくれる事に期待している。”鉄血の子供”を名乗ったところで、彼の渇きが癒える事は無いだろうが……彼が己自身で答えを見出した時、来たる新時代を担う器となれるやもしれぬ。
気づけば、宰相となり二年の月日が流れていた――――――ルーファスやレクターの働きもあり、”鉄血の子供”の存在が周囲に囁かれ始めている。そんな中――――――士官学院時代の友人であるリーヴェルトの訃報が届いた。不審な点の多い事故……恐らくは黒が招いた忌まわしき事件の”後始末”の為、市井へと赴いた先で……彼の娘であるクレア・リーヴェルトと出会うのだった。これも、帝国に生きる者を弄ぶ”黒”が導いた因果とでも言うのだろうか……彼女は悲劇をきっかけに”統合的共感覚”とでも呼ぶべき特異な才を発現させていたのだった。私は”後始末”を彼女自身に委ねることにし――――――結果、彼女は深く傷つきながらも己の運命に立ち向かう気骨と覚悟を示した。これもまた巡り合わせであろう――――私は彼女も”子供たち”へと誘うことにした。”終焉”が待ち受けるこの帝国の地に彼女が何を見出せるか――――せめて友の分まで見届けるとしよう。
ジュライに赴き、市長との交渉の末に彼の地を属州として取り込んだ頃の事であった。時期を見計らったように現れたのは懐かしき白銀の盟友――――――今は”鋼”を名乗り、結社で暗躍していると聞いていたが。言葉を交わせば”あの頃”と変わらず私の身を案じているようだった。ジュライが属州になった今、”呪い”の種は芽吹きつつある――――――”相克”の舞台は整い始めたと言えよう。その皆を伝えると、言葉少なに彼女は立ち去った。報われるべきは彼女だというのに……互いに難儀な性分なのは相変わらずのようだ。
”鉄血の子供達”に新たな子供が加わった。ミリアム・オライオン――――――またの名を、限りなく完成形に近い人造人間の最新型”Oz73”。まさに純粋無垢そのものといった少女は瞬く間に人間性を獲得し、成長を遂げてみせた。私では決して与えてやれる物をミリアムは持ち合わせているようだ……彼女と関わる内にクレアとレクターの表情も心なしか柔らかくなったように見える。”黒”に狂わされた人生において、取り零した豊かさを少しでも取り戻せているのなら幸いだ。………しかし成程、終末を齎すに相応しく、”剣”の創造とは業が深いものだ。もとより全ての罪咎を背負う覚悟……イシュメルガと共
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