第七章
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氷川は小沢、尾室と合流を果たしていた。焼肉屋で肉を食べながらの話であった。
「さあ食べて食べて」
小沢が肉を勧める。他の二人はビールと一緒に楽しんでいる。
「どんどん頼んでるからさ」
「相変わらずですね」
氷川は肉を勧める小沢に対して笑顔で言った。
「焼肉好きは」
「ビールもね。ロンドンじゃあまりなかったのよ」
「そうだったんですか」
「あっても高いしまずいし。イギリスよ」
「やっぱり」
その言葉だけでわかる。イギリスと言えば料理がまずいことで知られているからだ。それは氷川も知っていた。実際にイギリスで食べたことはないが。
「焼肉に餓えていたのよ」
「はあ」
「食べ物自体にね。本当にまずかったんだから」
「大変だったんですね」
「食べ物はね。やっぱり日本の方がずっと美味しいわ」
「ええ。それでですね」
氷川は本題に入って来た。
「今度の敵は」
「もうコンピューターにデータが入ってるわ」
小沢はこう述べてきた。
「安心して」
「そうなんですか」
「そうよ。まだ詳しいことは見ていないけれどね」
「ええ」
「何でもアギトに似た存在みたいですよ」
横から尾室が言ってきた。彼はホルモンを食べている。それからビールをぐい、と流し込む。慣れた食べ方であった。
「アギトに」
「はい。詳しいことはまだこれからですが」
「今回は少なくとも前みたいに足引っ張られることはないから」
「足って」
「北條さんがですね」
また尾室が言ってきた。よく見れば彼が一番焼肉を食べている。小沢と氷川は話に忙しい。
「協力してくれるそうなんで」
「本当ですか!?」
「本当よ」
小沢がそれに答える。
「だから安心して。いいわね」
「はあ」
その言葉にこくりと頷く。
「何か信じられないですけれど」
「どうやら彼も張り切ってるらしいのよ」
小沢はレバーを口の中に入れてから答えた。レバーの独特の味が口の中に拡がっていくのを感じながら。
「そうなんですか」
「そうよ。だから今回は信頼していいわ」
「わかりました」
半信半疑ながらそれに頷いた。
「そういうことでしたら」
「いい?今回も本気で行くわよ」
小沢は真剣な目で氷川を見てきた。
「油断していたら。何度命があっても足りないわね」
「でしょうね」
それは氷川もわかっていた。だからこそ応える。
「どんな敵なのか」
「一つ言えるのはね」
小沢は述べる。
「アンノウンとは違う存在だということよ。それは覚えておきましょう」
「はい。それじゃあ」
「食べ終わって翌日の朝よ」
リーダーとしての言葉になっていた。
「出撃は」
「わかりました。それじゃあ」
「ええ。尾室君はね」
「はい、僕は」
「私のサポートね」
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