第六章
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「二人だけで話がしたいんだ。いいかな」
「うん」
真魚はその言葉に頷く。そして店の看板に貸切の札を置いて彼女も席を外した。
津上は店の中の椅子の一つに座った。向かい側には青年がいる。二人は向かい合って今互いの顔を見ていた。
「それで」
最初に口を開いたのは津上であった。じっと青年を見ている。
「戦いに来たわけじゃないって」
「はい」
青年はそれに答える。そして彼も言うのであった。
「実はお願いがあってこちらに」
「お願い!?」
「はい。貴方達に戦って頂きたいのです」
「俺達に」
「そう。別の貴方達と。そして」
彼は言葉を続ける。その間津上から目を離すことはない。じっと彼を見たままであった。津上がそうであるように彼も津上を見ていたのである。
「神と」
「神と」
「そうです。貴方達人が生きる為にです」
「またアギトが暴走しようとしているのか」
「いえ」
この言葉は否定してきた。
「そうではありません。長い間人を支配しようと狙っている神が動きはじめようとしているのです。ですから」
「その神と俺達が戦って」
「そして人を守るのです。できますか」
「またアギトの力を使って」
無意識のうちに俯いてしまった。また戦いに赴くことをよしとできなかったのだ。アギトの力で。
「ですが貴方達しかできないのです」
「俺達だけが」
「そうなのです。だからこそ私は貴方の前に今こうして」
「俺達がいないと人間はその神様に支配されるんだな」
「その通りです」
その言葉には何の偽りも粉飾もなかった。それだけに怖い言葉であった。津上にとって。
「おわかりでしょうか」
「ああ」
認めたくはないが認めた。そのうえでの頷きであった。
「わかった。じゃあまた戦う」
「はい。それでは行くのです」
青年は津上に言う。
「新たな、そして人の為の戦いへ」
津上もまた戦いに赴くことになった。彼もまた戦いに向かおうとしていた。それが運命であり逃げることができないのは彼が最もよくわかっていた。
葦原はアパートに帰っていた。犬と恋人が彼を出迎える。
「お帰り」
「ああ、只今」
微笑んでそれに応える。応えてから犬を抱き恋人に顔を向ける。
「少しさ」
「ええ。どうしたの?」
二人は玄関で話をはじめた。葦原は微笑んでいたがそこにある決意を抱いていた。
「旅に出ていいかな」
「旅行に?」
「うん、東京の方にね」
彼はこう述べた。
「バイクで。すぐに戻るよ」
「そういえばお友達がいるのよね、あっちに」
「そうさ。あいつ等のところに」
彼等もいると確信していた。だからこその言葉であった。かつての三人でのあの戦いが再び行われる。それを今確信していたのである。
「ちょっと行って来るよ。それか
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