第四幕その五
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「この城の襖にはな」
「そうなんですね」
「この城にはあらゆる教えを入れた」
そうしたというのです。
「そして城の守り、結界にもしたのじゃ」
「そうなんですね」
「あと石垣であるが」
信長さんはお城のそれのお話もしました。
「使われなくなった墓石や地蔵尊を用いておるが」
「そうされてるんですか」
「それもじゃ」
そちらもというのです。
「結界じゃ」
「それにされていますか」
「この城は山全体を用いてな」
そうしてというのです。
「多くの壁や櫓、空堀を守りとして」
「結界もですか」
「その様にしてな、この天主閣もじゃ」
これもというのです。
「あらゆる教えを描かせてな」
「守りにされていますが」
「そうなのじゃ」
「そうですか、ですが信長さんは」
恵梨香はここまで聞いて信長さんにお話しました。
「神様や仏様は信じないのでは」
「いや、信じておるぞ」
すぐにです、信長さんは答えました。
「わしもな」
「そう言われていますが」
「違うぞ、信じておるからな」
だからだというのです。
「城全体をじゃ」
「結界にされていますか」
「あらゆる教えを描かせてな」
そうもしてというのです。
「そしてじゃ」
「墓石やお地蔵さんもですか」
「用いておる、どれも力があるからな」
墓石やお地蔵さんの像もというのです。
「だからじゃ」
「それで、ですか」
「用いてな」
「結界にされていますか」
「どうも今の本朝、日本ではわしはそう言われておるな」
信長さんはご自身から言いました。
「わしが血を好むだの神仏を信じぬだの」
「はい、そう」
「誤解じゃ、わしは血はこれといって好まぬしな」
まずはこのことを否定するのでした。
「民が幸せに過ごせるならな」
「それならですか」
「よくな、そして神仏もな」
「信じられますか」
「教えを守らぬ僧は好まぬし」
そうしたお考えでというのです。
「墓石や地蔵尊も只の石でないとじゃ」
「お考えですか」
「だから城の結界にしておる」
「そうですか」
「そしてじゃ」
それにというのです。
「天主閣と書くな」
「漢字では」
「そうじゃ、天の主じゃ」
そう書くというのです。
「これもじゃ」
「教えですか」
「そうじゃ、それでじゃ」
「信長さんもですか」
「神仏は信じておる」
「そうなんですね」
「わしは随分誤解されておる」
信長さんはこうも言いました。
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