第三章
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「戦ってやるさ。俺じゃなきゃ駄目なんだろ?」
「貴方だけじゃないけれど」
「そうか。じゃああいつ等も」
「それは後でわかるわ。それで」
「ああ。わかっている」
葦原は顔を上げて応えた。もうその顔には迷いはなかった。
「やってやるさ。それが俺の運命ならな」
「お願いね。それでね」
ここで女はまた述べてきた。
「何だ?」
「貴方達はまずは一回戦って欲しいの。まずはね」
「どういうことだ?」
「それは他の人達と一緒にいればわかるわ。その相手が問題なのよ」
「またアンノウンか」
「いえ」
葦原の言葉はすぐに否定された。女はここで言うのであった。
「また違う存在よ。けれど貴方達と似ているわね」
「俺達と」
「そう。その彼等を倒して欲しいの。全ては人間の為に」
「人間のか」
「お願いできるわよね」
じっと葦原の顔を見てきた。やはりその顔に迷いはない。
「それで」
「勿論だ。だから」
彼は言う。その迷いのない顔、そして声であった。
「戦う」
彼はまた戦うことになった。だがそれを受け入れるのであった。人間として。
小沢澄子はこの時警視庁にいた。既に制服にも着替えている。
「まさかまた警察に入るなんてね」
彼女は白い廊下を進みながら呟いていた。その後ろには若い制服の男がついていた。
「そうですね。お久し振りです」
「君も元気そうね」
「はい」
その若者尾室隆弘は小沢の言葉に笑顔で応えた。
「教官として頑張っていました」
「それももう終わったのね」
「残念ながら」
ここで少し寂しげな顔を見せてきた。しかしそれはすぐに消えた。
「現場に復帰ですよね、これで」
「多分ね。それで氷川君は?」
「もうこっちに来ているそうですが」
「そう」
小沢はそれを聞いて何かを感じる顔を一瞬だが見せた。しかしそれは一瞬のことですぐにいつものクールな顔に戻ったのであった。
「彼もね」
「はい。・・・・・・あっ」
「どうしたの?」
「ほら、あの人も」
「あいつね」
「はい」
「おや」
ここで前の階段から降りて来る黒いスーツにクリーム色のコートの男に気付いた。北條透であった。
「お久し振りですね、小沢さん」
「ええ」
北條の態度は慇懃で小沢の態度はシニカルであった。二人の関係は相変わらずであった。
「ロンドンで会って以来だけれど。元気そうね」
「おかげさまで」
北條は礼儀正しいがそこに含むものがある笑いを見せて述べてきた。
「またこちらに戻ることになりましたよ」
「奇遇ね、私もよ」
「そうですか。実は今回は私は特別な部署に就きまして」
「特別な?」
「ええ。G5部隊の統括にあたることになりました」
「そうなの」
小沢はその話を聞いて北條を見上げてき
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