第二部 1978年
影の政府
奪還作戦 その4
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隊長の声を聴くと、静かに顔を上げて、深々と息を吸い込む。
込み上げてくる不安を何とかして抑えようとしている様子だった。
「君たちは氷室さんを救出に着た部隊であろう。
本隊のほうには、何名残っている」
「向こうのほうには、数名の部隊しかおりません」
「彼らは囮だ。本当の狙いは木原君のほうだ」
その場に、衝撃が走った。
隊長をはじめ、みな凍り付いた表情である。
その場が氷のようにしんとなったところで、隊長は、腕時計を一瞥する。
「あと1時間で戦艦アリゾナからの艦砲射撃が始まります。
ここは、ひとまず退却しましょう……」
「幾多の犠牲を払って、氷室さんの救出作戦を組んだ。
今更やめるというのかね……」
隊長は、カッとなって鎧衣のネクタイをつかんだ。
だが、逆に血の気の引いた顔をする鎧衣に諭された。
「今、木原君とその彼が作ったマシーン、ゼオライマーがソ連の手に渡ったら、デルタフォースの犠牲よりもっと大きい犠牲が出る。
それに……」
「それに何ですか。これ以上犠牲が出れば……」
隊長の目を見ながら、鎧衣は冷酷に告げる。
「君個人の責任云々を言っているのではない。
木原君の力を借りて、BETAとの戦争にけじめを付けねば、冷戦という茶番をする事さえ難しいのだよ」
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