第二部 1978年
影の政府
奪還作戦 その4
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共軍の胸掛式弾帯を着けた姿。
最新式の暗視装置БН-2を装備し、SVD小銃や専用のフラッシュハイダーを着けたRPK機関銃を手に手に持って、米軍兵の行く手を阻む。
その場から脱出を図った米兵の足を、暗視スコープを載せたAK47で素早く撃つ。
太ももを打ち抜かれた米兵は、迷彩柄のズボンを真黒く染め、その場に倒れこんでしまった。
背後から、じっと彼らの姿を見て居た鎧衣は、苦虫を?み潰したような表情をする。
「早まったことをしてくれたものだ!」
そういうと、BAR軽機関銃をゆっくりおいて、忍び足でGRUの背後に向かった。
まもなく暗闇から、濃い象牙色の服を着た男が、20連射のスチェッキン拳銃を構え、姿を現す。
丈の短い上着と、対のカーゴポケットのついたズボンという恰好。
『マブータ』と呼ばれるGRU特殊部隊に支給された戦闘服だった。
ザイール(今日のコンゴ民主共和国)の独裁者モブツの名前に由来するこの制服は、1970年代初めに同国での特殊作戦で使われた。
この服は、地形や季節に合わせ、様々な保護色の生地で作られ、複数の裁断パターンがある。
一例をあげれば、夏用は、薄いシャツとズボンの組み合わせ。
冬用は、人造毛のつけ襟が付いた厚い綿の入った上下一式が、一般的だった。
後ろから来た隊長格の男は、乱杭歯をむき出しにして、勝ち誇ったようにニヤリと笑う。
「脅しのきく人質が、一気に6人とは。正に勿怪の幸いとは、この事だぜ」
満足げに笑うGRUスペツナズの兵士の後ろから、忍び寄る影。
兵士が気付くより先に、鎧衣は強烈な飛び蹴りを食らわせる。
振り返った別のスペツナズ兵士に向け、袖口より、棒手裏剣を投げつける。
兵士たちは悲鳴を上げる暇もなく、手裏剣を首に受けて、こと切れた。
「ミスター鎧衣!」
デルタフォースの隊員が驚きの声を上げるも、鎧衣は、彼らの背中を押して、退却を促す。
「早く、逃げるんだ」
鎧衣は、負傷した兵士のズボンをナイフで切り裂くと、懐から包帯と衛生パッチを取り出し、手早く巻き付ける。
手負いのデルタフォース隊員を担ぎ上げると、一目散に自分たちが乗ってきたジープに向かった。
さしものGRUも逃がしてくれるほど、やさしくはなかった。
「火線を開け」
指揮官の合図とともに、戦闘の火蓋が切って落とされる。
一斉に、対戦車砲や自動小銃が咆哮を始める。
RPK機関銃による、ひときわ激しい砲火が、鎧衣たちに向けられた。
鎧衣たちは物陰に隠れると、小銃で応射する。
複数の銃砲火によって、彼らは立ち往生してしまったのだ。
混乱の中にあって、米軍特殊部隊と、彼らに囲まれる形になっていた鎧衣は、ひとかたまりになって、要領よ
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