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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
どうあってかあたしは、追われている
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!」
斬り下し、斬り上げる。
腕を振るうことすら困難なこの状況。紫式部はまさか反撃してくるなどと思わなかったのだろう。
有り得ない、とそんな顔をしてゆっくりと倒れていく。
自分は勝ちを確信した。
これでまた、信用を勝ち取れる。
殺されることも無くなる。
そう、思っていた。
「…!?」
しかし現実というのは思ったより優しくない。
地面に倒れようとした紫式部。
それが霞のようにぼやけ、消え去った。
「がっ…!?」
その途端、襲い来る文字
書かれた文字が弾丸となり、ありとあらゆる方向から以蔵を撃ち抜く。
「どこだ!?どこにいる!!」
マスターも銃を構え、紫式部の居場所を探すもまるで見当たらない。
さらに、
「こいつ…呪いを仕込んじょるな…!!」
文字の弾丸に込められているのは呪い。
塵も積もれば山となるというように、1発1発は小さくともそれは蓄積され強大な呪いとなる。
1歩を踏み出すのが困難になり、刀を持つことすら億劫になる。
視界は暗くなり、死にたいという気持ちすら沸いてくる。
それらを振り払うように刀を滅茶苦茶に振り回すも、まるで意味が無い。
そして、
「まだ、やりますか?」
ふわり、と
スカートの端をはためかせた紫式部が以蔵の前に降りてきた。
「んの…きゃ、すたぁ…ごと、きが…っ!」
「そのキャスターごときに敗北を喫するあなたは何なのでしょうか?剣の天才♂ェ田以蔵様。」
このザマを見て、紫式部はわざと剣の天才の部分を強調して言い放つ。
屈辱だった。歯噛みすることしかできない。刀を振るおうにも、普段通りの力は出せない。
「もう一度聞きます。まだ、やりますか?」
「以蔵!!」
紫式部の再びの問い。
それに答えるようにして、マスターが叫んだ。
「退くぞ…!」
「んなっ…!?」
マスターもまた悔しそうな表情をしている。
ここは撤退するという判断も、苦渋の決断なのだろう。
「じゃが…!ここで失敗すればわしらはもう…!」
「たかがキャスター。そう侮った私のミスだ。」
「マスターは悪ぅない!!悪いのはわしじゃ!!わしが…!」
「もういい。」
そういい、マスターは背を向けて走り出す。
以蔵も舌打ちし、こちらを睨みつけてからマスターを追うようにして逃げ出した。
「…。」
誰もいなくなり、静けさがまたやってくる。
気絶している葵に歩み寄り、しゃがむ。
「……。」
彼女の存在に気付き、葵が薄く目を開ける。
青く澄んだその瞳は、間違いなく葵だ。
「かお…るこ?あたし…」
「私も無用心でした。お許しください。」
「いいんだ、そんなこと…。」
両目を手で覆い
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