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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
どうあってかあたしは、追われている
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倒れる暗殺対象。
途中なにか文字列が眼前に出てきたりと不思議な人ではあったがそんなことどうでもいい。

ともかくこれで

「これで信用を取り戻せるな。以蔵。」
「あったりまえじゃがな。前回の武蔵の時は状況が悪かっただけ。本来なら赤子の手をひねるくらい余裕ぜよ。」
「ふ…そうだな。何はともあれ良かった。」

そうして意識を失った葵を担ぎ上げようとする以蔵のマスター。

だが、

「マスター。」
「あぁ、探す手間が省けたよ。」

担ぎあげようとした葵を下ろすマスター。
以蔵の視線の先にいるのは、

「……。」
「黙ってどうした?マスターがさらわれそうでお怒りか?」


紫式部だ。
ただ黙ってそこに立ち、冷たい視線を彼らに向けている。

「紫式部。お前のマスターは連れていく。諦めてお前もついてこい。」
「……。」
「なんじゃ、口が聞けんのか?」

そのときだった。

「んのっ!?」

1歩踏み出そうとした以蔵。
しかしその瞬間身体がグンと重くなる。

「な、なんじゃあ!?」
「相手の呪術だ!!以蔵!」

膝をつき、重い首を上げて目の前の紫式部を見る。

そこにいるのは手を出し、手のひらを下に向けた紫式部がこちらを見下ろしていた。

「わしを、わしを見下すな…!術者(キャスター)ごときが…ッ!!」
「……。」
「それをやめろっちゅうんじゃあぁぁぁぁぁぁッ!!!」

力を振り絞り、以蔵は術の範囲外へと抜け出す。
刀を振り上げ、紫式部めがけ振り下ろす。
相手はサーヴァント、これくらいでは死なない。
だから問答無用で叩き斬る。

「…!」

つもりだった。

「?───────伏せなさい。」
「ごぉ…ぉぉおっ!?」

伸し掛る重圧。
さっきまでのアレは、本気ではなかったというのか?
紫式部が口にした通り、想像以上の重さがかかり以蔵は片膝を着いてしまう。
刀を突き立てなんとか立とうとしているもそれで精一杯だ。

術者(キャスター)ごとき。
先程以蔵はそう言った。

しかしその言葉は、訂正されることになる。

「こんくらい…どうってことないわぁぁぁーッ!!!」

気合いで立ち上がり、刀を振りかぶり諦めず襲いかかる以蔵。


「ちぇぇぇすとぉぉぉぉーーーッッッッッ!!!!!」


全身全霊。
腹の底から声を絞り出し、悲鳴に近い雄叫びを上げて紫式部を叩き斬る。
後が無い。だから確実に仕留める。
失敗したら?そんなことを考えるな。
自分は剣の天才。だからキャスターごときには負けない。
負けてはならない。
自分を喚んだマスターに申し訳が立たなくなる。

だから、

「これで…終いじゃあぁぁぁぁぁーッッ!!!
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