第七十話 平和だろその十
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「江戸城の周りに大名屋敷を造らせて」
「江戸城の周りにね」
「そこに人が集まってね」
後に町人達と呼ばれる彼等もそうなったのだ。
「それでね」
「江戸の街が出来て」
「本当に火事や台風や地震に」
「火山の噴火に」
「戦争の時は空襲も遭って」
江戸幕府がはじまってからというのだ。
「四百年以上経つけれど」
「その間何度もよね」
「焼き野原になったけれど」
それでもというのだ。
「そこからね」
「復活してるのよね」
「そうした街だからね」
「不死身みたいなのよね」
「冗談抜きにね」
留奈は腕を組んで考える顔になった、そうして首を傾げさせながらケニアから来た娘に対してこう語った。
「命、心があってね」
「生命力があるの」
「それでその生命力がね」
「不死身クラスっていうのね」
「それでその都度大きくなっていて」
復興の都度というのだ。
「今ああでしょ」
「一千万の人口がいてね」
「世界屈指の大都市だからね」
「そう考えたら」
「あの街は不思議よ」
「心があってもね」
「おかしくないのね」
「それも不死身の」
そうしたというのだ。
「不死鳥みたいなよ」
「街ね」
「そうなのよね」
「災害が多くて」
「それに何度も遭ってるけれどね」
「復活してきてるって凄いわね」
「あんた日本は災害が多いって言ったけれど」
この言葉からも言うのだった。
「実際にそうなのよね」
「それが怖いわよね」
「それに何度も遭っていて」
「復興してる東京は凄いわね」
「何なのかしらね」
留奈はまた首を傾げさせて言った。
「あの街は」
「地震からもっていうのがね」
ケニアから来た娘は言った。
「一番凄いわ」
「関東大震災?」
「私ちょっと揺れるだけで怖いわよ」
「ちょっと位はしょっちゅうでしょ」
留奈は日本人の間隔で応えた。
「もうね」
「そのしょっちゅうが怖いのよ」
「そうなの」
「台風もね」
「毎年来るけれど」
「だから日本みたいによ」
「災害が多くないのね」
ケニアから来た娘の言いたいことを察して言った。
「アフリカは」
「ええ、戦争がないことは幸せだけれど」
それでもというのだ。
「出来れば災害もね」
「なかったらいいのね」
「そうだったら最高なのにね」
「東京でもよね」
「いや、地震とか火事とかなかったら」
その四百年以上の歴史の中でというのだ。
「もっとよかったでしょ」
「それはね」
留奈も否定しなかった。
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